2008年04月23日

「カラマーゾフの兄弟 4」

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ドストエフスキー 著
亀山 郁夫 訳
光文社 出版

 「カラマーゾフの兄弟 1」から「カラマーゾフの兄弟 5」までありますが、この4巻が一番ボリュームがあります。

 話の中心は、兄弟の父親であるフョードルを殺した犯人が誰か、ということです。父親を殺すかもしれないと、口に出していた長男、ミーチャが真っ先に疑われますが、本人は否定しています。しかし、周りは信じる人と信じない人に分かれてしまいます。

 周りの人間の葛藤が、それぞれのかたちで描かれていて、興味深いです。第3巻では、グルーシェニカの豹変ぶりに目を奪われた私ですが、今回は、カテリーナの豹変ぶりに驚きました。カテリーナは、ミーチャの婚約者なのですが、当のミーチャがグルーシェニカに熱をあげていても、ミーチャに尽くす健気なイメージがずっとあったのですが、ミーチャが父親殺しでないのか、最後の最後まで心を決められず、結局、裁判でミーチャに不利な発言(フョードルが父親を殺してでも、使い込んでしまったカテリーナの金を返すと書いた手紙)をしてしまいます。

 次に印象的だったのは、イワンの葛藤です。イワンは、心の中で父親が死ぬことを待ち望んでいたのではないかという自分自身に対する疑いを否定しきれません。つまり、父親とフョードルがトラブルを起こしそうなそのときを選んで、家を離れたのはなぜか、ということを自分自身に問いかけても、納得のいく答えが見つけられず、苦しみます。そして次第に、幻覚に悩まされるようになります。

 そのイワンの内なる希望を指摘したのが、スメルジャコフです。彼は、イワンが家からでかける前に、フョードルと長男ミーチャが一触即発の状態にあることを、細かく説明したのに、なぜ、わざわざ遠くに出かけたのか、とイワンに問いただします。そして、その意外な答えをきいて、ある行動をとってしまいます。

 それぞれの人間の土壇場の姿が描かれていて、興味深いのですが、父親殺しに関しては、主人公であるはずのアリョーシャの存在感が薄く、意外な感じがしました。

 兄弟それぞれの個性がさらに浮き彫りになって、おもしろい展開だと思います。
posted by 作楽 at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(海外の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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