2008年05月23日

「旧約聖書を知っていますか」

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阿刀田 高 著
新潮社 出版

 「新バイブル・ストーリーズ」は、聖書を清く現代版にリメイクしたような感じでしたが、こちらは、「ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座」を読んだときの印象に近いものがありました。しかも、かなり、ざっくばらんというか、あけすけというか、語りかけや独り言のような独特のムードで進んでいきます。でも、何の知識ももたなかった私にはすごくわかりやすい内容です。

 何の知識ももたないといっても、現代においてもテロや紛争に関わる宗教というものについて何も聞いたことがない、とはいえないのですが、私にとっては、そもそも、神との「契約」ということは何かが理解できていませんでした。それが、この本を読んでなんとなくではありますが、雰囲気をつかめたような気がします。

 私にとって、宗教とは、人としての正しい道へ導いてくれるもの、というイメージがあったのですが、それも今では「なんか違う」という気がしています。本では次のように説明されています。
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 イスラエルの神にとっては、常識的な善悪も大切だが、それ以上に、その男が神を敬っているかどうか、その男が神の祝福を受けた者であるかどうか、それが第一義である。あえて簡単に、はっきりと言えば、神が愛している人間であれば、神を裏切ること以外はなにをやっても、まあ、おおめに見てもらえる。
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 こう説明されているのは、預言者として有名なヤコブが結構、卑劣なことをしているからです。まず、ヤコブには、エサウという双子の兄がいるのですが、その長子にあたるエサウが父、イサクから祝福を受ける予定だったのです。それを、卑怯にも、ヤコブは兄エサウのふりをして、目の弱った父イサクから、祝福を受けたのです。そんな卑怯な人間が預言者になっていいものなのでしょうか。「なんか違う」気がします。

 それでも、このヤコブはどうもとても主要な人物のようです。ヤコブは子だくさんで、12人の息子がいて、この12人が12部族の祖となるのです。そして、その12部族の中のひとつユダ族が、ユダヤ人だと言われています。本の中では、このように説明されています。
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 ユダヤ人は、ユダ族の血を引く者の意であり、南北分裂の頃には、北がイスラエル人、南がユダヤ人と区別されていた。十二部族の中の一つがユダ族なのだから、それ以前のことを語るときにはユダヤ人はまずかろう。ところが、北イスラエルは壊滅的に滅びてしまい、それ以後はユダ族の末裔が歴史上の主たる登場人物となるために、アブラハムの末裔がすべてユダヤ人であるような言い方もされるようになったわけである。
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 アブラハムは、イサクの父で、ヤコブの祖父にあたります。やはり、ヤコブは卑怯だけど、重要な役割を担った預言者だったことに間違いはないようです。個人的には納得できませんが。

 しかも、このイスラエルの神はとても嫉妬深いそうです。
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 しかし、師士が死んでしまうと、またすぐにイスラエル人は自分たちの神を忘れ、バアルとかアシュラとか、ほかの神を拝み始める。イスラエルの神は嫉妬深いから、これが一番きらいである。周辺の民族の反攻が起き、イスラエル人は圧倒されて苦しむ。
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 神を敬うのをやめると、天罰がくだる、ということです。「どの神を崇めようと個人の自由じゃないですか」などと言ったら、どういうことになるのか、恐ろしいです。

 つまり、神との「契約」というのは、神を敬い続ける限り守られるが、ほかの神に気持ちが傾くと罰を受ける、という契約なんでしょう。そういう契約には、個人的には魅力を感じられませんでしたが、なんとなくでも旧約聖書の内容を知ることができて、よかったです。
posted by 作楽 at 00:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(宗教・神話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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