2017年08月11日

「定年男子 定年女子 45歳から始める『金持ち老後』入門」

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大江 英樹/井戸 美枝 著
日経BP社 出版

 男性著者と女性著者それぞれの視点から定年後のアドバイスがなされています。著者のリアルな個人経験なので、説得力はあるものの、そのままでは自分にあてはめにくい内容でした。

 そうはいっても、個々のアドバイスの手前にある問題点の指摘は、とても納得でき、自分はどうしていくか考える参考になりました。一番印象に残っているのは、老後は、病気、お金、孤独が三大不安要素で、会社員と自営業では、対処する優先順位が違うということです。自営業では、1.お金、2.病気、3.孤独の順に優先度が高く、会社員では、1.孤独、2.病気、3.お金だそうです。

 孤独というリスクは、考えたことがありませんでした。ただ、女性の立場からいうと、会社員とひと括りにされるのは違う気もしますが、社外人脈を持てるよう「人の貯金」に励めという著者の意見には頷かざるを得ません。

 タイトルにあるとおり、入門レベルでは役立つ本だと思います。
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2017年08月10日

「超訳 ニーチェの言葉」

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白取 春彦 訳
ディスカヴァー・トゥエンティワン 出版

 理解できているという実感が得られず、昔、最後まで読み切れなかったニーチェの作品が、小さな書店でも大量に平積みされていて驚いたことを思い出し、本書を手にしました。読み終えて、「超訳」とは何かという疑問がわきました。

 特許情報プラットフォームという登録商標が検索できるWebサイトによると、「超訳」は、1990年11月30日登録、2020年11月30日満了の商標です。1987年に出版されたシドニィ・シェルダンの「ゲームの達人」が最初の「超訳」のようです。

 たとえば、本書の064にある以下の出典は、「曙光」とあります。

事実が見えていない
 多くの人は、物そのものや状況そのものを見ていない。
 その物にまつわる自分の思いや執着やこだわり、その状況に対する自分の感情や勝手な想像を見ているのだ。
 つまり自分を使って、物そのものや状況そのものを隠してしまっているのだ。

 これを、ちくま学芸文庫の「ニーチェ全集7 曙光」(茅野良男 訳)で探してみても、以下438しか見つかりません。

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人間と物。−−なぜ人間は物を見ないのか? 彼自身が妨害になっている。彼が物を蔽っているのである。

「超訳」という登録商標をつけても、著者の解釈をニーチェの言葉とすることは、問題だとわたしは思います。
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2017年05月24日

「たたみかた 福島特集」

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三根 かよこ 編
アタシ社 出版

 30代のための社会文芸誌だそうです。想定読者とは随分世代が違いますが、30代のころに、社会文芸誌というジャンルの雑誌を目にした記憶がないので、読んでみたくなりました。

 この創刊号は、東日本大震災、特に福島をテーマとしていますが、一番印象に残った記事は、福島とは何の関係もない記事でした。テロ組織に加入しようとする人を思いとどまらせたり、すでにテロ組織に入ってしまった人を脱退させたりする活動をソマリアで実施している永井陽右氏(25歳)に、編集長である三根氏(1986年生まれ)がインタビューした『この世紀のヒーロー』という記事です。

『話せばわかる』という考え方を一切否定し、『絶対に分かり合えない』という前提にたって、社会をよくしたい、世界を平和にしたいと考えて活動している永井氏の姿勢に共感すると同時に、その若さでそんな風に考えられる人がいることに心強さを感じました。

 この雑誌の紹介文に『合意形成を成し遂げるための必読書!』とあります。もちろんこの雑誌を読んでも、合意形成に到達する道筋が見えるわけではありませんが、社会における人と人の交わりが希薄になり、家族が小さくなり、真っ向から意見を闘わせる機会が少なくなっているいま、こういう雑誌のニーズが生まれたのだろうかと想像しました。
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2017年05月01日

「ブラウン神父の知恵」

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G・K・チェスタトン (G. K. Chesterton) 著
中村 保男 訳
東京創元社 出版

 読み継がれてきた作品を、古めかしい訳から新しい訳にあらため、出版するのが新訳版で、そういった版の場合、初めて読んだ古い作家の作品でも、昔の作品を敢えて翻訳しなおそうとしただけのことはあると納得できる魅力を感じることが多いのですが、この作品は、それに当てはまりませんでした。

 主人公であるブラウン神父が、小柄で風采のあがらない第一印象とは裏腹に、観察力や推理力にすぐれ、誰もが見過ごすような細かなことから論理的に事実を積みあげ、あっという間に謎を解いてみせるというギャップは、面白く感じられました。また、先入観や周囲の人々の意見にとらわれ、ものごとを公平に客観的に見ていない点を指摘する展開に意外性も感じられました。

 ただ、全体を流れる冷笑的なトーンがわたしの好みではありませんでした。また巻末の巽昌章氏による解説で「古代趣味、綿々たる因縁ばなし、奇怪な呪い」と形容されている怪奇趣味的要素も、わたしは苦手なので、読みすすめるのに苦労しました。

 以下の12篇の短篇が収められています。こうして12もの意外な展開が用意されていることを考えると、好みにあわなかったとはいえ、中身の濃い1冊ではあると思います。

ーグラス氏の失踪
ー泥棒天国
ーイルシュ博士の決闘
ー通路の人影
ー機械のあやまち
ーシーザーの頭
ー紫の鬘
ーペンドラゴン一族の滅亡
ー銅鑼の神
ークレイ大佐のサラダ
ージョン・ブルノワの珍犯罪
ーブラウン神父のお伽噺
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2017年04月19日

「Lean UX ― リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン」

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ジェフ・ゴーセルフ (Jeff Gothelf) 著
ジョシュ・セイデン (Josh Seiden) 編
児島 修 訳
坂田 一倫 監訳
オライリージャパン 出版

 次の2点に関する他社事例が見つけられないかと思い、この本を読んでみました。

1. アジャイルとユーザー体験の統合事例

2. ユーザー体験のグローバル展開

 1. については、ある程度具体的な例が紹介されていました。スプリントも一般的な2週間なのですが、デザイナーも開発者も全員がすべての活動に参加することが要求され、想定される規模としては、やはり『リーン思考』にフォーカスしているだけに、スタートアップに近い製品に限定される気がしました。ある一定以上の成熟度合をもつと、ここで目指すMVP(実用最小限の製品)から外れ、プロセスを適用する難易度がぐっと上がるのではないでしょうか。

 2. については、まったく触れられていませんでした。やはり、スタートアップなどに最適な『リーン』を考えると、グローバル展開を前提とするのは、的が外れているのかもしれません。

 わたしにとって参考にはなりませんでしたが、生産性向上の観点から、実のある手法だとある程度納得できましたが、チームが一か所に集まり、同じ時間帯に働くという条件を満たすこと自体が、やはりスタートアップ向けに思われました。
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