2017年04月19日

「Lean UX ― リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン」

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ジェフ・ゴーセルフ (Jeff Gothelf) 著
ジョシュ・セイデン (Josh Seiden) 編
児島 修 訳
坂田 一倫 監訳
オライリージャパン 出版

 次の2点に関する他社事例が見つけられないかと思い、この本を読んでみました。

1. アジャイルとユーザー体験の統合事例

2. ユーザー体験のグローバル展開

 1. については、ある程度具体的な例が紹介されていました。スプリントも一般的な2週間なのですが、デザイナーも開発者も全員がすべての活動に参加することが要求され、想定される規模としては、やはり『リーン思考』にフォーカスしているだけに、スタートアップに近い製品に限定される気がしました。ある一定以上の成熟度合をもつと、ここで目指すMVP(実用最小限の製品)から外れ、プロセスを適用する難易度がぐっと上がるのではないでしょうか。

 2. については、まったく触れられていませんでした。やはり、スタートアップなどに最適な『リーン』を考えると、グローバル展開を前提とするのは、的が外れているのかもしれません。

 わたしにとって参考にはなりませんでしたが、生産性向上の観点から、実のある手法だとある程度納得できましたが、チームが一か所に集まり、同じ時間帯に働くという条件を満たすこと自体が、やはりスタートアップ向けに思われました。
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2017年04月17日

「文豪おもしろ豆事典」

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塩澤 実信 著
北辰堂出版 出版

 著者独自の基準による「大文豪篇」「小文豪篇」「文豪候補篇」と3つの章立てになっています。

「文豪候補篇」は、わたしが実際に見聞きしてきた話題(東野圭吾、宮部みゆき、浅田次郎、片山恭一、俵万智、小松左京、筒井康隆、綿矢りさ、金原ひとみといった面々のエピソード)が多く、特に目新しさは、ありませんが、「大文豪篇」ともなると、時代を経ても読み継がれてきた作家や作品が数多く登場します。そして一番強く思ったことは「いまとは時代が違ったんだ!」ということです。

 昔は、新聞の影響力が大きく、かつ、その発行部数には連載小説が大きく寄与していたと思われます。昭和36年当時、産経新聞の発行部数を伸ばすべく、鳴り物入りで始まった司馬遼太郎の連載「竜馬がゆく」の原稿料は月100万円だったそうです。同社の部長の給料が3万円程度だったことを思うと破格です。しかも当時、司馬遼太郎は、産経新聞社に勤務する記者で、これを機に国民的作家になったそうです。

 いまでは世界中の人が知っている「レ・ミゼラブル」を書いたヴィクトル・ユーゴーは、その出版直後に出かけた海外旅行中に、「?」と書いた手紙を出版社に書き、その返事として「!」を受けとったそうです。手紙という通信手段自体が時代を感じさせますが、いまでは誰もが認める文豪も、「売れゆきはどうか?」と出版社に尋ねたくなったようで、さすがは文豪、「素晴らしい売れゆきです!」という報告を受けとったそうです。

 以前、わたしが借りていたアパートメントの前に『永井荷風生家跡地』の標識がありましたが、その永井荷風のエピソードは、くすりと笑えました。1952年に文化勲章を受けた永井荷風は、年額50万円の文化功労者年金を受けとることになり、浅草ストリップ劇場の踊り子たちに甘いものをご馳走しようと考えていたそうです。いっぽう、女の子たちは、相手が文化勲章受賞の偉いセンセイになったのを機に、よそよそしい態度をとるようになったとか。永井荷風はこうこぼしたそうです。「あれは文化勲章がわざわいしたんだ。ぼくはそこまで考えがおよばなかった。老人のたのしみを一つもぎとられたような感じですよ」
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2017年04月09日

「JAPAN CLASS それはオンリー イン ジャパン」

20170409「JAPAN CLASS それはオンリー イン ジャパン」.png

ジャパンクラス編集部 編
東邦出版 出版

 ここ数年のあいだ、『実は、日本人(または国や製品)は、こんなにスゴかった』といったエピソードをつなぎあわせたバラエティ番組をよく見かけるようになりました。これは、その書籍版にあたります。

 ネットの匿名コメントをつなぎあわせた内容がほとんどなので「だから、何?」というのが、おもな感想です。

 それら以外では、納得できる部分もありました。ひとつは、ディズニー映画の日本語版吹き替えを紹介した記事です。唇の動きにあうよう音節に拍をあわせた違和感のない吹き替えで、母音が多く柔らかく聞こえる日本語は、やさしい雰囲気の作品の場合、もとの英語より心地よく響くようです。

 もうひとつは、MATCHAというWebサイトの運営者が考える、日本の情報を発信する意義です。消えつつあるモノやコトも含め、日本の文化を知ってもらう努力は意味があると共感できました。(MATCHAというWebサイトを知ることができただけでも、得るものがありました。)

 そうはいっても、こういった自画自賛を前面に出した書籍やテレビ番組が増えに増えているのは、あまりよい風潮には思えません。むやみと自国やその文化を卑下するのも考えものですが、内輪だけで良さを認めあうよりも、他国や他者に自分たちの良さをどのように伝えていくかという方向のほうが好ましく思えます。
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2017年04月08日

「人はなぜ笑うのか―笑いの精神生理学」

20170408「人はなぜ笑うのか」.png

志水 彰/角辻 豊/中村 真 著
講談社 出版

『笑い』というものが多角的に分析されています。どのような起源か、使う筋肉は何か、文化的にどのような役割を担っているのか、そういったさまざまな切り口で論点が展開されています。

 わたしが一番興味をもったのは、さまざまな感情において笑いがどのような位置づけにあるかというモデリングです。

 感情には、それを表わす側と受けとる側があり、ときには受けとる側が混同することもありますが、混同しやすい感情を隣り合わせに並べると以下のようになるそうです。『笑い』から最初に連想するのは、おそらく『楽しい』といった類の感情だと思いますが、以下のモデルでは、『愛・幸福・楽しさ』に含まれます。ただ、『笑い』には、『冷笑』なども含まれ、こちらは以下のモデルの『軽べつ』に含まれます。その対極にある怒りや苦しみの真っ只中にあれば、笑うことはできません。

20170408 感情の円環モデル.png

 上記と似たモデルに、感情と表情の立体モデルも紹介されていました。こちらは、笑いを分類(@からF)し、それを立体モデルにマッピングしています。この地球儀のように見えるモデルの中心部分は、感情がない状態にあたり、地表に向かっていくにつれ、感情が強くなります。

20170408 感情と表情の立体モデル.png

 普段数値化しやすいものを扱う仕事をしているせいか、感情や表情といったものも、このようにモデリングできると考えたことがなかったので、おもしろく読めました。
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2017年03月22日

「脳科学医が教える他人に敏感すぎる人がラクに生きる方法」

20170322「他人に敏感すぎる人がラクに生きる方法」.png

高田 明和 著
幻冬舎 出版

 一般的にはあまり知られていない HSP (Highly Sensitive Person) について、該当者である著者が、おもに自らの体験を書いている本です。

 HSP とは、タイトルにある『他人に敏感すぎる人』のことで、アメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士が見出したそうです。およそ 5 人に 1 人がこの HSP に該当しますが、病気ではなく、一種の『気質』にあたるそうです。

 この本を読んだきっかけは、自分がこの HSP に該当するかもしれないと思ったことです。読み終えて、いろんなことに納得がいきましたし、社会に出る前にこういう概念を知っていれば……とも思いました。(ただ、HSP が知られるようになってまだ 20 年経っていないので、物理的に不可能なのですが。)それでも、この 20% という数字や適性について知ることができたのは有意義だと思います。これまで自分ひとりの経験のなかから結論めいた、自分なりの答えを出して、それに従って行動してきましたが、その裏づけのようなものを読むことができてよかったと感じました。

 もし世代に関係なく、この HSP が 20% の割合で存在するのであれば、仕事を決めるとか、さらにはもっと前、学校を決めるとき、該当しそうな人たちに読んでほしいと思います。
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