2020年01月17日

「夜中にジャムを煮る」

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平松 洋子 著
新潮社 出版

 この本を読み、著者は料理研究家だと思ってしまいましたが、エッセイストだそうです。わたしがそんな誤解をしてしまうほど料理満載の一冊です。

 わたしの場合、料理ができないのでレシピを参考にするということはないのですが、道具類については心惹かれるものがありました。ひとつは、お米を炊くための鍋『黒楽御飯鍋』で、美味しいご飯が炊けそうなうえ見た目が気に入りました。著者同様わたしも炊飯器を手放せないか考えたことがあり、実行に移すおりには参考にしたいと思います。

 もうひとつは、蒸し野菜が上手にできるというドイツ製『クリスピー・カバー』です。外側がカリッ、内側がしっとりジューシーに焼き上げられるそうで、野菜以外にも幅広く使えそうなのですが、売り切れ状態で手に入れるのは難しそうでした。

 料理にあまり関心を持てないわたしには『豚に真珠』といった感じの本でした。
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2020年01月16日

「無から生まれた世界の秘密 宇宙のエネルギーはなぜ一定なのか」

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P. アトキンス (Peter Atokins) 著
渡辺 正 訳
東京化学同人 出版

 物理学も数学も苦手なわたしがこの本を最後まで読めたのは、『数式はみな本文から落とし、巻末の注記に押しこめ』るという方針のもと、言葉 (だけ) で自然界の法則が説明されていたからです。物理学関連の書籍はどれを読んでも数式を理解できずに前に進めなくなっていたので、助かりました。また、擬人化された説明も読みやすく感じられました。

 たとえば、宇宙誕生の際、わずかなこと (not much) が宇宙を生み、造物主 (神) のようなものは、手抜き (怠慢、サボり indolence) をし、同時にアナーキー (無政府状態、無秩序 anarchy) も大きな要因となり、不可知 (知りようのないこと、無知 ignorance) が手助けしたと著者は考えています。

 キーワードが『わずか』『手抜き』『アナーキー』『不可知』だとわかりますが、相互の関係は漠然としてよくわからない説明です。そこを著者は、さまざまな理論・原則を紐解きながら、本書の終わりには読者がそのとおりかもしれないと感じるようなところまで持っていきます。

 ひとつ例をあげると、光の反射の法則や屈折の法則などはどれも、『光は、出発点から終点まで最速で着ける経路をたどる』と言い換えることができるそうです。

 光の動きに先述の『アナーキー』を当てはめ、光が出発点から終点まで無秩序に (勝手気ままに) 動いたと仮定します。そうすると、電磁波である光は、それぞれ別ルートで届いたとき電場が互いに打ち消しあう結果になりますが、例外的に打ち消しあわないのが、最短ルートをとった光だというのです。これを著者は、『アナーキー』がこの『光は、出発点から終点まで最速で着ける経路をたどる』という法則を生んだのだと述べています。

 こうして多種多様な法則を例に、『わずか』『手抜き』『アナーキー』『不可知』に触れていくと、著者の理論の核が薄っすらと見えてきたような気がしたのが不思議でした。
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2019年12月28日

「毎朝こんぶ茶を飲んだら 2 週間で 3kg やせた」

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工藤 孝文 著
CCCメディアハウス 出版

 こんぶは、ヨーグルトや生姜同様、抗アレルギー作用が期待できる食品だと、どこかで読んだことを思い出し、読んでみました。しかも、減量できるなら、一石二鳥です。

 こんぶ茶が減量に役立つのは、シュガースパイラルを抜けられるからだそうです。シュガースパイラルとは、1. 糖質の多い食事をとる → 2. 脳が快感物質ドーパミンや幸せホルモン セロトニンを分泌 → 3. 血糖値が上昇 → 4. 膵臓からインスリン分泌 → 5. 血糖値が急降下 → 6. アドレナリンが分泌され禁断症状が起こる、そうしてまた 1. へ戻るという中毒症状のような繰り返しから脱却するために味覚をリセットできるこんぶ茶を飲もうということのようです。脳内物質に基づく説明なので、科学的根拠もありそうです。

 また、ある研究結果では、胃などの内臓にも味覚センサーがあるとわかったそうです。そのセンサーは、うま味成分のグルタミン酸に反応し、ON になると代謝が活発になる仕組みなので、こんぶ茶で代謝をあげると減量に役立つと考えられています。

 いろいろ魅力的な効果がこんぶにはあるようですが、実際一番いいと思ったのは、その手軽さです。粉末こんぶをお湯に溶かして飲むだけでいいそうです。これでアレルギーを初めいろいろな効果が期待できるのであれば試してみたいと思いました。
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2019年12月27日

「星宙の飛行士 宇宙飛行士が語る宇宙の絶景と夢」

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油井 亀美也/林 公代 著
実務教育出版 出版

 いままで想像したこともなかった光景が次々と登場して圧倒されたことと油井氏の人柄が印象に残りました。

 宇宙飛行士である油井氏は、人工衛星が撮る写真とは違う、人間がいるからこそ撮ることができる写真を撮るという意図のもと、地球の夜景など構図に工夫を凝らした写真を数万点も撮影されました。そのなかから厳選された 91 点の画像がこの本に収められているのですが、撮影の苦労が実感できたのは、油井氏が宇宙で滞在していた ISS (国際宇宙ステーション) が秒速 8km 、東京と大阪の間を 1 分間で移動できるスピードで移動している点です。

 猛スピードで流れていく風景に合わせて手持ちのカメラも移動させるのは至難の業だったことでしょう。そうして流し撮りされた写真のなかには、歴史を感じさせるものもあります。ドイツ・ベルリンの夜景では、街明かりの色が半分ずつ異なっています。東西分裂時代に西と東で使っていた街灯がそれぞれガス灯とナトリウム灯と違う種類だったため、その夜景から今も分断時代を伺うことができます。

 そのほか、上空から見る台風の目、日本実験棟『きぼう』が青く染まって見える夜明け (ISS では 45分に 1回夜明けを迎えます)、オーロラのある景色に月光が映りこんだ幻想的な光景など、地上からの景色しか知らないわたしにとっては不思議な写真ばかりです。

 また油井氏は、YouTube でユニークな映像を公開していて、この本に掲載されている QR コードから簡単にアクセスできます。わたしがちょっと笑ってしまったのは、宇宙でピーナッツを食べる方法です。

 束の間、宇宙旅行の気分を味わうことができました。
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2019年12月26日

「目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】」

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中野 剛志 著
ベストセラーズ 出版

 にわかには信じがたい理論が披露されていますが、素人判断ながら理論的に破綻しているようには見えませんでした。

 著者はまず『合成の誤謬』という概念を紹介しています。これは、ミクロ (個々の企業や個人) の視点では正しい行動も、その行動を集計したマクロ (経済全体) の世界では、反対の結果をもたらしてしまうようなことを指しています。

 デフレ下で支出を切り詰めて楽になろうとしたら、それがさらなる需要縮小を招き、デフレが続いて、生活がますます苦しくなるデフレも『合成の誤謬』のひとつだということです。

 言い換えれば、赤字の垂れ流しを止めるのは個々の家計では正しいのですが、財政赤字を削減しようとすることは負の結果を招くということです。でも、日本国債を発行し続けるような状況でいいのでしょうか。それに対し著者はこう語っています。
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財政赤字の制約となるのは、民間部門の貯蓄ではない (財政赤字は、それと同額の民間貯蓄を創出するから)。
財政赤字の制約となるのは、政府の返済能力でもない (政府には、通貨発行権があるから)。
財政赤字の制約を決めるのは、インフレ率である。インフレになり過ぎたら、財政赤字を拡大してはいけない。
財政赤字を無限に拡大できない理由は、そんなことをすると、ハイパーインフレになってしまうからである。
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 こう言われると、通貨とは何かがわからなくなります。著者は、信用貨幣論によれば、貨幣には現金貨幣と預金貨幣があり、後者の場合、預金が先にあって、貸出しが行なわれるのではなく、貸出しが先にあって、預金が生まれる、つまり、国債発行によって預金が増えて貨幣供給量が拡大し、それが需要の拡大を意味するというのです。

 しかし、肝心なことは、一般大衆のマインドではないでしょうか。そういう理屈を国民の多くが理解しなければ、この理論の正しさを試すことは叶わないような気がしました。
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