2020年03月12日

「サクラと星条旗」

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ロバート ホワイティング (Robert Whiting) 著
阿部 耕三 訳
早川書房 出版

 日米の文化比較のような本かと、タイトルから勘違いをして入手しました。実は、米国のメジャーリーグのあれこれをそこで活躍する日本人選手を中心に紹介するエッセイです。普段野球を観戦しないので、メジャーリーグに渡った日本人はこんなにも多かったのかと今更ながら驚いたのですが、プレーの話題以外でも色々驚かされたことがありました。

 そのなかでも数字絡みのことは、印象に残りました。ひとつは『セイバーメトリクス (SABR metrics)』です。SABR は、Society for American Baseball Research (アメリカ野球学会) のことで、metrics は指標や評価基準を指します。統計学の一種ですが、これで選手の価値が判断されるそうです。WHIP、PAP、VORP、BIP% など、見てもわからないメトリクスばかりですが、これらを駆使して、野球経験がまったくないながら活躍する GM もいるそうです。

 もうひとつは、日本の球団の懐事情は、年間(数)十億円レベルの球場使用料で痛むいっぽう、米国の球場は、莫大な地元の助成金で支えられ、球団が多額な使用料を支払うことはないという日米の対照的な状況です。こうして球団が選手に資金を投入できる余裕が生まれ、日本の優秀な選手がメジャーリーグに移っていく事情も生まれているようです。結局のところ、地元の助成金も、球場で試合が行われることによる経済効果をもとに算出されているのでしょうから、スポーツも結局は経済活動のひとつということなのだと今更ながら気づかされました。

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2020年02月22日

「お金の流れで読む日本と世界の未来」

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ジム・ロジャーズ (Jim Rogers) 著
大野 和基 訳
PHP研究所 出版

 ジム・ロジャーズへのインタビュー内容を書籍にしたものです。投資するほどの資金を持っていないくせに、ジム・ロジャーズが語った内容を書籍にすると大概売れると評判なので、つい気になってしまい読みました。

 投資とは関連性の薄いみっつの話題が気になりました。ひとつめは、韓国語のチェボル (chaebol:財閥) という単語が英語でそのまま通用するということです。日本語の keiretsu が英語で通用するのと似ています。

 ふたつめは、総人口に占める子供 (0〜14歳) の比率が 30% 以下、高齢者 (65歳以上) が 15% 以下のとき、経済が飛躍的に成長する、『機会の窓』が開くという考えです。日本の場合、1965 年から 1995 年がその時期にあたり、イギリスの場合 1980 年、ドイツの場合 1990 年に窓が閉じたそうです。経済は人口構成次第だと、あらためて思い知らされました。

 みっつめは、フィンテックによる世界発の銀行『ITF』が香港に本店を構えたそうです。IT 業界に身を置いているので、『ITF』がどんなサービスを打ち出してくるのか興味が湧きました。

 最後に投資関連の話題をひとつだけ。いま国債を購入するのにふさわしい国はロシアだけだそうです。
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2020年02月21日

「医療現場の行動経済学 すれ違う医者と患者」

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大竹 文雄/平井 啓 編著
東洋経済新報社 出版

 医療現場における行動経済学の研究が、実例を交えながら説明されています。研究はおもに 2 種類あり、意思決定上の行動経済学的なクセによって医療健康行動が、積極的に取られたり、逆に、阻まれたりしていることを明らかにする研究がひとつで、もうひとつは、人の行動経済学的なクセを利用して、積極的な医療健康行動を促進しようとする、ナッジの研究です。

 わたしは医療従事者ではないため、後者より前者の研究に興味があります。特に、QOL に影響する判断で後悔したくないので、自らのバイアスを事前に理解しておきたいと思いました。

 行動経済学的なクセの具体例としては、損失回避、現在バイアス、社会的選好 (利他性・互恵性・不平等回避)、サンクコスト・バイアス、平均への回帰、利用可能性ヒューリスティック、極端回避性、同調効果などです。

 このなかで自分がもっとも自分が囚われやすいだろうと思うのは、サンクコスト・バイアスです。寛解が見込めないこともあり得る、癌などの治療をやめるタイミングは難しいと思います。ここまで頑張ってきた(もうコストは取り戻せなくなっている)のだから、治療をやめたくないと考え、最後にやりたかったことを果たせずに亡くなった事例が紹介されています。

 最後にやりたいことは何か、それをするのに必要な体力と時間はどのくらいかをイメージしながら、サンクコストに囚われないよう注意したいと思いましたが、現実にそのときを迎えたら難しいかもしれません。
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2020年02月20日

「イケア イングヴァル・カンプラード」〜世界の大起業家から学ぶ 〜

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フレドリック・コルティング/メリッサ・メディナ (Fredrik Colting/Melissa Medina ) 著
ジョルダーノ・ポローニ (Giordano Poloni) 絵
岩崎書店 出版

 あの IKEA の創業者の人生を絵本にしたものです。

 わたしは子供のころ、いちおういくらか伝記を読みましたが、そのなかの偉人たちに対し、自分が住む世界とはまったく異なる時代に生きた過去の人といったイメージを抱きました。しかし、この本で描かれるイングヴァル・カンプラードは、2018年まで活躍していた実業家で、同じ時代を生きた人生の先輩といった趣があり、こういう人生譚を絵本というかたちで子供たちが読むのもいいのではないかと思いました。

 薄い絵本にするために、IKEA の創業者のどのような面を切りとったのか興味深いところですが、決して裕福とはいえない家庭に生まれたこと、5 歳のころにはすでに商才が芽生えていたこと、失読症だったこと、17 歳で高校を卒業したことなど、押さえるべき情報は押さえられているようです。

 ただ古い車に乗り、仕事にお弁当をもっていくといったカンプラードのライフスタイルから『ぜいたくをしない』人だと判断し、その目的を『むだづかいをしない』ためと決めつけているのは、少し行き過ぎではないかと思いました。ビジネスパーソンとして、自分が所有する企業で働く人たちを慮っているだけかもしれません。また『ぜいたく』と『無駄』を同一視する価値観を押しつけることに対しても少し疑問を感じました。
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2020年01月17日

「夜中にジャムを煮る」

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平松 洋子 著
新潮社 出版

 この本を読み、著者は料理研究家だと思ってしまいましたが、エッセイストだそうです。わたしがそんな誤解をしてしまうほど料理満載の一冊です。

 わたしの場合、料理ができないのでレシピを参考にするということはないのですが、道具類については心惹かれるものがありました。ひとつは、お米を炊くための鍋『黒楽御飯鍋』で、美味しいご飯が炊けそうなうえ見た目が気に入りました。著者同様わたしも炊飯器を手放せないか考えたことがあり、実行に移すおりには参考にしたいと思います。

 もうひとつは、蒸し野菜が上手にできるというドイツ製『クリスピー・カバー』です。外側がカリッ、内側がしっとりジューシーに焼き上げられるそうで、野菜以外にも幅広く使えそうなのですが、売り切れ状態で手に入れるのは難しそうでした。

 料理にあまり関心を持てないわたしには『豚に真珠』といった感じの本でした。
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