2016年12月08日

「緑のカプセルの謎」

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ジョン・ディクスン・カー (John Dickson Carr) 著
三角 和代 訳
東京創元社 出版

 1939年に発表されたミステリだとは俄かに信じがたいほど、色褪せた感じがしません。現代のデジカメには遠くおよばない、音声すら入っていない映像が重要な証拠なので、もちろん作品の古さを実感することはできます。それでも、ひとが陥りやすい錯覚を利用したトリックは、妙に説得力があります。わたしが、もしこんなふうに誘導されたら、うまうまと罠に嵌められることは間違いないと言い切れるほどです。

 見事なトリックで成り立つその事件は、ある事件のトリックを解明するために実施された実験を巧みに利用したものでした。しかし、その実験の意図がどこにあったのかも、どのようにその実験が利用されたのかも、皆目見当がつかないところから、ヒントが小出しにされていきます。そんな展開のなか、途中で読むのをやめるなんてことはできず、ついつい読んでしまいました。

 そしてすべてが明らかになり、ずいぶんと巧妙なトリックだとひとしきり感心したあと初めて、少々偶然に頼りすぎた展開があったことに気づくといったありさまで、すっかり騙されてしまいました。発表から半世紀以上経って、新訳で再登場する作品だけのことはあります。堪能いたしました。
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2016年11月12日

「日本の地価が3分の1になる!」

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三浦 展 著
光文社 出版

 インパクトのあるタイトルです。このタイトルの根拠となっている考え方は、老年人口(65歳以上)を生産年齢人口(20〜64歳)で割って求められる「現役世代負担率」と地価の関係です。「現役世代負担率」が大幅に上昇すれば、地価は大幅に下落し、地域によっては3分の1になる可能性もでてくるというものです。

 そう説明されると、そんなことは知らなかったと驚いてしまいそうですが、冷静に考えると両者の関係は想像がつきます。たとえばニュータウンということばであらわされる地域は、日本経済が右肩あがりで人口が都市に集中しだしたとき、都市周辺に一気に開発されました。最初は比較的お手ごろな価格で30代を中心とする世代が住み、人気が出て地価があがり、若い世代が移り住むことが難しくなって、かつて30代を中心としていた街が40年経過して70代を中心とする街になり、税収が減り、商業地域が減り、大幅に地価が下がるというシナリオです。逆に、昔から下町として知られる地域は、常に若い人の流入も流出もあり、土地が流通し、「現役世代負担率」の増加もニュータウンなどに比べると緩やかです。

 しかしこの「現役世代負担率」を正確に地域別にシミュレーションするのは極めて困難に見えます。相対的に差が発生すると、それを見て、人々の流れも変わりそうです。ただ、そのことを考慮しても敢えて地域別の具体的な数値を示したことは著者の警鐘ではないでしょうか。地価の大幅下落は実際に起こってもおかしくない話ですから。

 もうひとつ、本書では、この老年人口の定義を65歳以上から75歳以上に変えると、「現役世代負担率」が2040年でも2014年と同程度に維持できる、つまり大幅な地価の下落は起こらないという仮説も披露されています。これも65歳でのリタイアに対する警鐘でしょうか。

 読んでいると、住宅が資産形成になると当然のように思っていたころが懐かしく感じられました。
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2016年11月10日

「本当の自分がわかる6眼心理テスト」

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林 吉郎/八木 龍平 著
創元社 出版

 タイトルにある6つの眼というのは、「デジタル」「アナログ」「主体」「客体」「未来」「過去」を指しています。これら6点でできる「デジタル・アナログ」「主体・客体」「未来・過去」の3つの組み合わせにおいて、どちらに偏っているのか、あるいはバランスがとれているのかを知ろうというのが、この心理テストです。

 61問から成るテストに答えるだけなので、テスト自体は簡単です。その結果は、27通りのパターンがあります。(たとえば「デジタル・アナログ」の組み合わせでは、デジタル指向タイプ、アナログ指向タイプ、バランスタイプの3つに分類され、ほかの2つの組み合わせにおいても3つに分類されるので、組み合わせは27通りになります。)

 わたしは、「デジタル・アナログ」ではバランスタイプ、「主体・客体」もバランスタイプ、「未来・過去」では未来指向という結果になりました。このテストでは、「ポジティブな新しい物好き」という分類名が付されています。自他を信じることができるタイプで、ポイントは感謝の心を忘れないことだそうです。

 この心理テストにかかわらず、感謝の心は忘れずにいたいと常々思っているので、その心がけを新たにするいい機会でした。そして、わたし個人に限っていえば、この心理テストは、的を射たアドバイスをしてくれているように見えました。
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2016年04月08日

「品のある人、品のない人」

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中谷 彰宏 著
ぱる出版 出版

 品よくするとはどういうことか、なんとなく理解できていても、いざ誰にでも頷いてもらえるよう説明するとなれば、とても難しいと常々感じています。

 それでそのヒントを得るべく読んでみましたが、やはり品を定義するのは難しいようです。この本では、こういうことは品がないという説明が並び、それらを避けていけば品よくなれるというアプローチがとられているようです。その限られた説明でさえ、そのとおりだと思うケースもあれば、首を傾げたくなるケースもあります。

 そういう視点で人を判断する人もいると参考にするのはよいと思いますが、やはり人の受け売りではなく、品よくするためには日々自分で考えていくしかないような気がしてきました。
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2015年08月27日

「50代でしなければならない55のこと」

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中谷 彰宏 著
ダイヤモンド社 出版

「いまさら、こんなことをしても……」そう思うことが多くなったので、「いまさらでも、すべきことがあるのでは?」と思って、読みました。家庭のある男性会社員が主な読者として想定されているようで、組織における役回りや動き方といった、あまり参考にならない部分も結構ありましたが、しっくりとくるアドバイスが2点ありましたが。

・問題を解決するよりも、「それはそれでいいんです」と問題を凌駕する度胸をつけるのです。これは諦めるということではありません。「解決」と「凌駕」という2つの考え方があるということです。

・50代では、「しておいたほうがいいこと」よりは、「しなくていいこと」をやったほうがその人の未来がはるかに広がります。時には、それが人助けになることもあるのです。

 前者は、自分の置かれている状況に当てはまり、似たようなことを考えていたので、それを肯定された気がしました。後者については、「しなければならないこと」「しておいたほうがいいこと」「しなくてもいいこと」のうち、「しなければならないこと」に追われながら、「しておいたほうがいいこと」を少しでも多く片付けようとしている状況を見直す気になりました。
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