2015年03月01日

「夜の果てまで」

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盛田 隆二 著
角川書店 出版

 帯に『お互いの人生を変えてまでも進む二人に、とても共感した。』とありましたが、わたしは全然共感できませんでした。わたしなら、「わたしと一緒にいるために相手は戸籍すら捨ててしまった」そう思うだけで、生きていく気力が削がれてしまい、どこにも進めそうにありません。戸籍でさえ捨てるのが惜しくないと思えるほどの人に出逢って幸せだという考え方ができたら、主人公たちに共感できたのでしょうか。

 読後感が思いのほか重い恋愛小説でした。
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2015年02月28日

「失職女子 私がリストラされてから、生活保護を受給するまで」

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大和 彩 著
WAVE出版 出版

 もし仕事がなくなったらどういう状況が待っているのか具体的に想像することができないのでこの本を読んでみる気になりました。

 著者は、やや健康面に不安があるものの東京に住む40歳手前の女性なので、選り好みしなければお仕事はあるのではないかと考えがちですが、実際は派遣の契約が打ち切られて以降、正社員の募集に応募しことごとく不採用通知を受けとるという過酷な経験をしています。そしてタイトルにあるように生活保護を受けることになったのでした。

 時期としてはリーマンショックの頃の話なので、現在は状況が違うのかもしれませんが、結構怖い話です。著者がハローワークで相談した際、仕事は何でもいいと職員の方に告げたとき、きっぱり言われたそうです。その年齢では、いままでの経験を活かした仕事しかできません、『何でも』は通用しませんと。

 海外に移ってしまった仕事やコンピュータが代わりになってしまった仕事の経験しかない人も世の中には大勢いることでしょう。そう考えると、自分の経験が通用する残り期間を常に測っておくべきなのでしょう。大変な時代に生きているのだという実感が湧きました。
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2015年02月26日

「ロボット革命――なぜグーグルとアマゾンが投資するのか」

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本田 幸夫 著
祥伝社 出版

 この本では、すでに工場などで活用されている産業ロボットではなく、介護・医療の現場や家庭内などで利用できないか検討されているサービスロボットが中心に取りあげられています。

 そのうえでタイトルにある『ロボット革命』をイメージするとき、画期的な技術が開発され量産化が進み日常生活にロボットが溶け込むような変化を思い浮かべていました。つまり科学技術の面において何かすごいブレイクスルーが起こったことを機に世の中が変わることをイメージしていました。

 でもこの本を読んで気づいたのは『ロボット革命』には、企業経営陣やわたしたち一般市民の意識・考え方に革命が起こる必要があるということです。

 まず最初に、わたしたちの暮らしをより豊かにするために、どのような分野にどのようなロボットを導入するべきかという視点を持つ必要がありそうです。著者によると、ある特定の技術が開発されたから、その適用分野を探そうとする、技術ありきの姿勢が日本では一般的だそうです。それでは必要とされているロボットは開発されません。

 次に、ロボット導入に不可欠な実証実験を思い切って実施する必要がありそうです。現状は、事故が起きたとき責任をとるのは誰かという問題に終始して、実証実験に踏み切れないそうです。使ってみなければ問題点も見えてこないので、この責任問題を打開する何かを考えなければなりません。

 サービスロボットがなくても困っていないから、このまま現状維持でよいとする考え方もわからないではありません。ただこれからの高齢化社会において不足する労働力を補うためにも、『サービスロボットを導入しない』という選択肢を除いて、誰もが考えてみる必要がありそうです。
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2015年01月26日

「ドミトリーともきんす」

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高野 文子 著
中央公論新社 出版

 タイトルは、「ともきんす」という名前の寮のことです。そして「ともきんす」は、ジョージ・ガモフの著作「トムキンスの冒険」のトムキンスをもじって付けられた名前です。。

 自然科学の大家4人、朝永 振一郎、牧野 富太郎、中谷 宇吉郎、湯川 秀樹が若かりしころ同じ下宿に住んでいたら……そしてそこにジョージ・ガモフが訪ねてきたら……という想像の世界で、それぞれの研究分野や個性や著作が漫画で紹介されています。

 これを読んで、それぞれの科学者の人生を覗き見てもいいでしょうし、紹介されている本のなかから気になったものを読んでみるのもいいでしょう。とにかく、科学に縁のないわたしでも、難しすぎて放りだしたくなることもなく楽しめました。
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2014年08月31日

「ペナンブラ氏の24時間書店」

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ロビン・スローン (Robin Sloan) 著
島村 浩子 訳
東京創元社 出版

 時代の流れに添った内容であることは間違いないのですが、冒険譚としての面白みに欠ける気がします。

 主人公のクレイ・ジャノンは、現代に生きる20代の若者ですが、ひょんなことからサンフランシスコの24時間営業古書店で夜勤を担当することになります。しかし、その古書店には謎の部分が多く、その解明に乗り出します。

 冒険ゲームになぞらえて、クレイがクエストと呼ぶ謎解きの旅は、ニューヨークに飛んだり、ネヴァダ州に飛んだり、たしかに冒険めいているのですが、クレイ自身が冒険するというより、コーディネイト役を果たしているといったほうが相応しいものです。もちろん最後の鍵は、クレイが握っているのですが、それまでは、資金力のある友人、グーグルに勤務するIT技術者のガールフレンド、モノづくりの達人である特殊効果アーティストであるルームメイト、学術肌の店員仲間などの能力を適宜活用しているに過ぎない印象があります。

 ただ、デジタルとアナログがうまく交わっている点が現代の雰囲気にあっていて、つまらないと酷評したくなるほどでもありません。やや物足りない感じでした。
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