2019年01月18日

「NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生」

20180118「NEVER LOST AGAIN」.png

ビル・キルデイ (Bill Kilday) 著
大熊 希美 訳
TAC 出版 出版

 グーグルマップの元となった製品の誕生 (2001 年のトレードショーで披露されたのが初イベントとなったキーホールアースビューアーという名前の製品) し、それが 2004 年秋にグーグルによって買収されたあと 2005 年 2 月にグーグルマップ (アメリカ国内の地図だけでローンチし、1 か月ほど経ってグーグルローカルに改名) として公開され、2005 年 6 月にはグーグルアースもリリースされ、その後発展し続けた 10年ほどの経緯が描かれています。

 この本には 15 年を超える歳月が収まっていますが、1 冊の本で変化のはやい IT 業界の製品も企業 (つまり人) も広く振り返るには長すぎる期間に思います。さらに、IT 業界に身をおいているわたしの目から見ると、ベンチャー企業が資金繰りで苦労したり、M&A によって異なる企業文化がぶつかったり社内政治で覇権争いがあったりといったことに目新しさを感じられず、冗長に感じました。

 だったら、もっとグーグルマップという製品だけに焦点をあて、機能や技術・開発手法の変遷に絞ったほうがおもしろかったのではないかと思います。著者は、キーホールアースビューアー時代とグーグルマップ時代の一部で、プロダクトマネージャとマーケティングマネージャを兼任していたので、アーキテクチャに疎い人々にも製品の仕組みや特徴をわかりやすく説明できたと思います。

 もしこの本がグーグルアースのリリース直後あたりにそれまでの裏話満載で出版されていれば別ですが、2018 年という出版時期を考えると、取りあげる範囲にもう少し工夫が必要だった気がします。

 そうはいっても、グーグルマップの成長物語としての部分は読みごたえがあり、そういえばそうだったと過去を振り返る機会を得たと同時に、グーグルの価値観やビジネス理論、ファウンダーたちの世界を変えるブレイクスルーを生む信念・信条を再認識できたことは有意義でした。
posted by 作楽 at 21:00| Comment(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月19日

「わくわく数の世界の大冒険 2」

20181219「わくわく数の世界の大冒険 2」.png

桜井 進 著
ふわ こういちろう イラスト
日本図書センター 出版

わくわく数の世界の大冒険」の続編です。シリーズの最初と違って、こちらでは図形が頻繁に登場します。形の把握が苦手なので、前作ほどは楽しめませんでした。

 ただ、子供の頃すごく驚いたことを鮮明に思い出しました。その問題は、同じクラスに誕生日が同じ子がいる確率を問うものです。クラスにはせいぜい 45 人しかいないのに 1 年は 365 日もあります。同じ誕生日の子がクラスにいる確率は、奇跡が起こるのと同じくらいの確率だと思っていました。

 ご存知のとおり、45 人のクラスなら、同じ誕生日の子が 1 組もいない可能性は、1 割を切ります。自分が奇跡だと思うことが起きる確率が 9 割以上あるということです。

 あのとき、そんなはずはないと強く思ったものの、証明できない自分がただの馬鹿に思えました。意外な本で思い出に浸ってしまいました。
posted by 作楽 at 20:00| Comment(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月18日

「日本史「補佐役」たちの言い分 ナンバー 2 こそ本当の主役 」

20181218「日本史「補佐役」たちの言い分」.png

岳 真也 著
PHP 研究所 出版

 いわゆる補佐役だった歴史上の人物のなかから、その人物像が正しく伝えられてこなかったのではないかと著者が考えた人物が並んでいます。

 主役ではなく補佐役に着目するのは意外性があると思います。わたしは元々歴史がさっぱりわからないので、世間で捉えられている人物像すら把握できていないのですが、印象に残った人物をふたり挙げたいと思います。

 ひとりは、柳生宗矩 (やぎゅうむねのり) です。徳川家康が征夷大将軍の任にあったころ、将軍家指南役の地位にありました。柳生新陰流でその腕を鳴らしただけでなく、長男・十兵衛のような密偵を抱え、柳生新陰流の門弟を全国に配し、そのネットワークを通じて主だった大名と係わりをもち、大規模な情報組織を維持していたとか。武器戦争の時代に情報戦争を予見していたかのようで驚きました。

 もうひとりは、テレビドラマでお馴染みの水戸光圀 (みとみつくに) です。この漫遊譚の真偽は不明ですが、1657 年から 1906 年という年月を費やして編纂された『大日本史』を始めたのが水戸光圀だったのは間違いないようです。二世紀半もかかる文化的大事業を手懸けたことはもっと知られてもいいのではないでしょうか。

 両者どちらも、当時の価値観に流されず本当に価値あるものを理解していたように見受けられます。トップとは違う感性で歴史の流れをつくった人たちなのかもしれません。
posted by 作楽 at 06:00| Comment(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月03日

「20 歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」

20181203「20歳のときに知っておきたかったこと」.png

ティナ・シーリング (Tina Seeling) 著
高遠 裕子 訳
CCC メディアハウス 出版

『普通〜するでしょ』とか『それ常識でしょ』とか普段何気なく聞くことばですが、この本を読んで、もっと『普通』とか『常識』を疑ってもいいと思えました。

 著者は『My Dinner with Andre (アンドレとの夕食)』から、ニューヨーカーについて述べた以下のセリフを引用しています。

<<<<<
「看守でもあり、囚人でもある。そのため、……自分たちがつくりあげた監獄を出られないし、監獄だと気づくことすらできない」
>>>>>

 つまり人は、自ら周囲に檻をつくり、そこから出られない言い訳をし、囚われ続けているというのです。この檻を出ることを決め、檻の外にある無限のチャンスを掴みにいけば、すべてが変わるということを若いときに知ってほしいというのが、この本の主旨です。

 しかし自らの檻から出ていくことは、誰にとっても難しいことで、それを乗り越えた実例を著者はこの本で数多く披露しています。

 そのいっぽう解説で、三ツ松新氏は次のように書いています。

<<<<<
諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授によれば、遺伝子的に、ドーパミン第四受容体の遺伝子内塩基の繰り返しが多いほど「新奇探索傾向」が強く、セロトニンが少ないと「損害回避傾向」が強まるそうです。ちなみにある調査では、新奇探索傾向の強い日本人が 7% であるのに対してアメリカ人は 40%、損害回避傾向の強いアメリカ人が 40% であるのに対して日本人はなんと 98% だったそうです。
>>>>>

 ここからいえることは、遺伝子が異なる人たちと同じ条件でブレイクスルーを競うのはリスクが大きいということです。ただどんなときでも相手の思考と傾向を知っておくことは大切だと思います。
posted by 作楽 at 06:00| Comment(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月30日

「リスクゼロで小さく起業 会社を辞めずに「あと5万円! 」稼ぐ」

20181130「会社を辞めずにあと 5 万円稼ぐ」.jpg

新井 一 著
大和書房 出版

 人口ピラミッドがいびつになりすぎて年金制度の現状維持が無理になったいま、大手企業でずっと働き続けたような方々は別かもしれませんが、老後の不安から逃れられないのが普通になったのではないでしょうか。わたしも、このままずっと働き続けなければ暮らしていけないと思っています。

 そうはいっても、政府が 70 歳まで雇用を継続してくれといったからといって、70 歳まで続けられる仕事は限られているのではないでしょうか。そう思うと複業は有効な手段だと考えるようになり、この本にヒントを求めました。

 会社員が別の仕事をもつという前提に限ってのことですが、すごく納得できた点が 3 点あります。

 1 点目は、好きなこと得意なことに限ること。収入のためにイヤイヤしていては起業する意味がなく、進んでやりたいと思うことに絞る必要があります。

 2 点目は、人の役に立つこと。きれいごとのようにとられがちですが、たとえ月 5 万円を目標とする収入の少額な対価とはいえ、それを支払ってくれる方の視点を忘れないことは大切です。

 3 点目は、すぐには諦めないこと。安定した収入があるわけですから、試行錯誤を重ね、壁を乗り越えていく期間は長めにとれると考えるべきで、収入があるから無理に別の仕事をしなくても……という方向に流れないことです。

 特に 1 点目は参考になりました。
posted by 作楽 at 05:00| Comment(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする