2007年11月02日

「The Hobbit : The Enchanting Prelude to The Lord of the Rings」

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J. R. R. Tolkien 著
Ballantine Books 出版

 あの有名な映画ロード・オブ・ザ・リングの序章にあたる本です。著者のTolkien氏は、空想話が好きで、「The Hobbit」が生まれたと聞きました。そして、その続編を書いて欲しいという依頼に応え、あの「Lord of the Rings」三部作が誕生したそうです。

 実は、スターウォーズといい、ロード・オブ・ザ・リングといい、ハリー・ポッターといい、完結までの道のりが長い映画というのは苦手で、ロード・オブ・ザ・リングも最初の1本は見たような気がするのですが、残念ながらストーリーに関する記憶が残っていません。

 それでも、冒険物というイメージが強かったので、この本の出だしでは、勝手に作り上げたイメージがことごとく壊されてしまいました。

 主人公のHobbitの名前はBilbo Baggins。Bilboは、意外にも、年齢が50歳代で、堅実な親が残してくれた家(本の表紙にある緑の丸いドアの奥にある横穴形式の家)で快適に暮らし、パーティを開くことが好き。パーティといっても、飲めや歌えやの大騒ぎではなく、お茶のパーティといった風情です。しかも、行き当たりばったりではなくきちんと予定を立てて行動したり、汚れたお皿はきれいに洗ってから食事を作るということを好む几帳面さ。

 冴えないけど、無難な人生を歩む中年男。なんとなく、そういう感じがしませんか。

 それなのに、Gandalfという名前のWizard(魔法使いや賢人という意味)が突然、13人のDwarf(こびとという意味ですが、この本ではHobbitよりは体格的には大きいという設定)とやってきて、一緒に旅に出ようと言われるのです。しかも、Hobbitの役目はBurglar(強盗)。旅の目的はDwarfの先祖がSmaugというDragon(ドラゴン、竜)に奪われた財産・財宝を取り戻しにいくというもの。

 冒険の主人公が奥さんの居ない50歳というだけでも驚きですが、よりによって、規則正しく平穏に暮らしている中年男を強盗役に任命しなくても、と不自然に思っている間に、Bilboはいやいやながらも旅に加わることになってしまいます。危ない仕事を指示されても、あまり役に立てずに旅を続けるうち、Bilboは不思議な指輪を拾います。嵌めると、姿が見えなくなるというもの。その指輪のおかげで、次々とBilboは活躍し、その中で、彼自身の考え方が行動力が変わってきます。

 意外性に満ちていて、「ありえない」と思ってしまうのですが、それが物語をおもしろくする方向にうまく働いています。

 完結までの長い道のりを、映画では越えられませんでしたが、本では越えられるかもしれない、と思わせるくらいのおもしろさです。機会があれば、「The Lord of the Rings」も読んでみたいと思うくらい、大人も楽しめる本でした。

 ちなみに、この本は「ホビットの冒険」というタイトルなどで和訳があります。
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2007年04月16日

「Manhattan Is My Beat」

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Jeffery Deaver 著
Bantam Books 出版

 すでに読んだ人から、主人公のRuneに感情移入できるかどうかが、おもしろさの分かれ目と聞いていました。まさしく、その通りでした。

 主人公のRuneは、ニューヨークのレンタルビデオショップでアルバイトする20歳の女の子。映画が好きで、おとぎ話をどこか信じていて、定職に就いていなことを気にすることもなく、家賃を払わずに空いている建物に勝手に住んでしまうような子なのです。もし、私が彼女の立場なら、学校に行ってスキルを身につけようかとか、ちゃんとした部屋に引っ越さないといけないとか、次から次へと心配ばかりが湧き起こり、余裕のかけらもないと思うのですが、彼女は全然そんなことは思わず、エンジョイしています。

 自分と正反対の性格のRuneを羨ましく思う気持ちがどこかにあるのでしょう。私はRuneが好きになってしまい、どんどん物語にのめり込んでしまいました。

 物語は、Runeがレンタルビデオショップの客のひとりの殺人現場に居合わせてしまうところから始まります。その客は、「Manhattan Is My Beat」という映画ばかり何度も何度も繰り返し借りている70歳代の男性。Runeはそれを見かねて、許されることではないのですが、店のオーナーに内緒でその映画をコピーしてあげると、その男性に言います。そこで、その男性はそのお礼にと、Runeをランチに誘います。男性が殺されたのはその後。コピーした映画を渡す前です。

 ランチを共にしたときの会話、同じ映画ばかりを繰り返し借りるという男性の不思議な行動、そして映画の内容が、銀行強盗のお金が横取りされ行方不明になったままという実話を元になっていることなどから、Runeは、その殺された男性が、昔、銀行から消えたお金を追っていて殺されたのではないかと推測し、動き回ります。

 話は緩やかに展開し、登場人物もそのキャラクターも揃ったところ、物語の最後の最後で、パタパタと音を立てるようにすべてが露見したり、伏線と結びついたり、急展開を見せます。

 もちろんヒヤヒヤする場面も、意外な人物の意外な正体に驚くこともあるのですが、最後の最後に見せるRuneの優しい一面や、その行いがステキな贈り物を運んでくるあたり、やっぱりニューヨークらしいサクセスストーリーというか、ハッピーエンドです。

 日常生活でハメを外せない、仕事をすっぽかすなんて考えられない私が、はちゃめちゃなRuneを楽しんだ1冊でした。
posted by 作楽 at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする