2007年09月04日

"隔靴掻痒"

 『翻訳家の仕事』を読んでいて、出合った文章。
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原文の数字を日本語に代入する作業には、毎度ながら違和感を覚える。長さ、重さ、温度などを日本語の単位に置き換えることもあるが、『華氏四五一度』を摂氏に言い換えたら馬鹿らしいし、『九マイルは遠すぎる』をキロメートルにしたらトリックが成立しないように、(しつこいようだが)数字や単位というのはそれじたいが言語のメンタリティの表れなのだから、無機的に置換して等価の翻訳とは言えないはずなのだ。ケースバイケースで暫定的に処理すしかない。
 ああ、まったくもってもどかしい!こういう隔靴掻痒のもどかしさを1ホンヤク(hyk)と定義したい。
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 "隔靴掻痒"。漢字のすごさを思い知りました。初めてみた熟語の意味が手にとるようにわかってしまいました。またそのことばを選んだ書き手の語彙の広さとその的を射た使い方を見習いたいとも思いました。

 "かっかそうよう"と読むそうです。『大辞林』には以下のように意味が説明されていました。
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「無門関(序)」より。靴の上からかゆいところをかく、の意から思いどおりにいかなくて、もどかしいこと。
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 あっぱれ、漢字。

○○出典○○

『翻訳家の仕事』
編集: 岩波書店編集部
出版社:岩波書店

『大辞林』
編者: 松村 明・三省堂編修所
出版社:三省堂
posted by 作楽 at 08:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 本で興味をもったことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする