2017年04月10日

「そうだったのか!ニッポン語ふかぼり読本」

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ジョン・金井 著
知玄舎 出版

 ロサンゼルスにある引退者ホームで日系人または日本人の方々を相手に、ボランティア活動の一環としてソーシャルアワーを担当された経験が綴られたものです。ソーシャルアワーというのは、『社交のために設けられた時間』くらいの意味ですが、ここでは、現役世代のボランティアが引退した方々を相手に話題を提供したり、(お互いに)新しいことを学んだりされているようです。

 著者は、アラ還だそうですが(この『アラ還』ということばも、日本を離れていらっしゃる日系人引退者ホームの方々にはピンとこないことばのひとつとして、取りあげられています。)、このソーシャルアワーのために、意外性があったり、話題が広がったりする知識や旬のことばなどを仕入れようと、常にアンテナを張って過ごされているのが読みとれました。その著者のボランティアが、こうして本に発展することを考えると、ほかの人のために何かをすることは、感謝以外のかたちでも自分に何か返ってくるのだと思えます。

 著者によると、こういったアメリカ国内の1年間のボランティア活動を報酬に換算すると年間3千億ドル(1ドル100円として30兆円)を超えるそうです。日本の1年間の国家予算(一般会計)が100兆円に満たないことを考えると、その規模がわかりやすいと思います。

 著者が紹介していた意外性のある話題のひとつが以下です。アメリカと日本では、日常で使う温度の単位が異なります。華氏と摂氏ですが、それぞれの由来は、発見した人物の名前を以下のとおり中国語の音にしたがって漢字にし、その最初の文字と人名に添えて敬意をあらわす『氏』をつなげたという成り立ちだそうです。さまざまな概念を、カタカナだけに頼らず日本に取りいれていた時代の工夫のひとつだったのは意外でした。

・Fahrenheit ⇒ 華倫海 ⇒ 華+氏 ⇒ 華氏
・Celsius ⇒ 摂爾思 ⇒ 摂+氏 ⇒ 摂氏

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2017年03月08日

「考えるシート」

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山田 ズーニー 著
講談社 出版

 この本の読者層を考えずに読んでしまいました。読者層として最適なのは、学生を中心に、社会人二、三年目くらいでしょうか。もちろん、社会人十年目でも、接客中心で、文章を書いた経験がないという方も含まれると思います。

「書くように言われたから、とりあえず書きました!」というレベルではなく、相手を動かすつもりで何かを書くなら、あるいは何かを話すなら、こういった準備が必要だというサンプル(考えをまとめるシートと使い方)がいくつか掲載されています。

 プレゼンテーション資料を作ったり、企画書を書いたり、そういった実務経験が豊富な方々には、必要のない本です。
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2017年02月08日

「日本語の作法」

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外山 滋比古 著
日経BP社 出版

 ここでいう『作法』をどう説明すればいいのか迷うところですが、『おとなの嗜み』とでもいえばいいでしょうか。著者が常日頃見聞きしたなかから、すぐれた言葉遣い、いただけない無遠慮などを紹介しています。

 決まりきった型は、無難ではあるものの、ときには相手への配慮がいまひとつ欠けているといえなくもない状況に陥ることもあります。ここでは、年賀欠礼がとりあげられています。師走に入り、年賀状を書き終えてから届いた欠礼のあいさつには、「……当方の賀状は控えますが、いただくのはありがたくお受けします。にぎやかなことの好きだった故人も喜ぶでしょう」とあったそうです。すでに書いてしまった賀状のことを考えて気が重くなる相手を慮っての素敵なことばだと思います。

 それとは違うタイプの工夫ですが、日本におびただしい外来語が入ってきた明治時代、そのままの原語ではわからないから、細工は流流の訳語をこしらえたことをあげています。それが現代では、外国から入ってきた新しい概念やものごとをよく理解しないまま、カタカナ語で誤魔化し、それを恥ずかしいと思わないと批難しています。(著者は、自国にないものを借りてくることはしかたがないと認めたうえで、わからないことを誤魔化しても恥と思わない心根を嘆いています。)適当にカタカナ語にしてしまい、日々それらを使っているIT業界の一員として、耳が痛いご指摘です。

 作法というと、決まりごとのように聞こえますが、基本は『気遣うこころ』だと、あらためて認識しました。
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2017年01月27日

「日本語どっち⁉」

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北原 保雄 著
金の星社 出版

問題な日本語」の著者が書いた本なので、読んでみました。期待とは少し違って、こちらは対象読者の年代が、少々低めに設定されているようです。高校生あたりではないかと思います。

 AとBを提示して、タイトルにあるように、どっちが正しいか問い、正解を説明する構成になっています。

 読者層が高校生くらいかと思って読み始めたものの、A/Bの選択を間違えてしまったものが、いくつかありました。

『一段落』。これの読み方として正しいのは、次のどちらでしょう。A.いちだんらく、B.ひとだんらく。

 正解は、A.いちだんらく、のほうです。

「一仕事」(ひとしごと)「一安心」(ひとあんしん)「一苦労」(ひとくろう)といった読み方に影響されたのではないかと著者は分析しています。まさにわたしのことです。

『さわり』。この言葉の意味として正しいのは、次のどちらでしょう。A.物語や歌、芝居などの最初の部分。出だし。B.物語や歌、芝居などの、いちばんの見どころや聞きどころ。

 正解は、B.いちばんの見どころや聞きどころ、のほうです。

「さわり」は、もとは人形浄瑠璃で、義太夫節以外の流派の節を取りいれた部分のことだったそうです。その部分が最高の聞かせどころだったことから、見どころ、聞きどころの意味で広く使われるようになったとか。ずっと昔からも間違えて使っていたなんて、恥ずかしい話です。
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2016年03月10日

「日本語擬態語辞典」

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五味 太郎 著
講談社 出版

 絵本作家として有名な五味太郎が描く擬態語辞典です。読者として想定されているのは、日本語を母語としない方々です。

 厳選された200の擬態語が英語と日本語でそれぞれ数行ずつ解説され、その状況が絵であらわされています。絵本作家が思い浮かべる辞典は絵なのだと、新鮮な感覚で見ることができました。

 擬態語というのは、そのニュアンスを伝えるのが難しいと同時に、形式張った表現にそぐわないものなので、ユーモア溢れる絵にしてしまうのもアリかなと妙に納得してしまいました。
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