2008年01月18日

「The Fugitive Factor (On the Run 2)」

20080118[TheFugitiveFactor].jpg

Gordon Korman 著
Scholastic Paperbacks 出版

 ちょっと中だるみといった感じです。第1巻の「Chasing The Falconers」の展開の速さを思うと、なんとなく、ゆったりと進んでいるような気がして仕方がありません。

 また、なんとなく整合性がとれていないというか、それはありえないと思われる点も少し目立ちます。特に、警察の杜撰さ。警察署から、行方を捜したい人の免許証記録を盗みだすのですが、それがなんとも不思議。個人情報が管理されている部屋に簡単に入れたり、しかも電子データではなく、紙媒体で盗み出せるようになっているんです。それは、ありえないでしょう。普通は、電子データになっていて、それなりのセキュリティレベルにあるはず。一方、捜している人の宿泊記録をホテルから盗み出すときには、ホテルの電子化された宿泊記録から、名前や宿泊時期で検索して、簡単にお目当てのものを見つけ出してしまうのです。

 子ども向けとはいえ、ここまでしっくりこない部分が出てきて、テンポが落ちてくると、ちょっと残念。次の3巻を読んで、もとのスピード感やスリル感が戻ってこなければ、続きは知らなくてもいいかな、とまで思ってしまいました。

 次の3巻に期待したい気分です。
posted by 作楽 at 00:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月26日

「The Lion, the Witch and the Wardrobe (Chronicles of Narnia, Book 2)」

20071126[TheLionTheWitchandTheWardrobe],.jpg

C. S. Lewis 著
Harpercollins Childrens Books 出版

 ある方に教えていただくまで知らなかったのですが、このNarniaシリーズの著者であるLewis氏と「The Hobbit」の著者であるTolkien氏はある時期一緒にオックスフォード大学で教鞭をとっていて、かなり親しい間柄だったそうです。

 両氏とも、文学に興味を持ち、本を出版していたのですが、キリスト教と物語との距離についての意見は大きく違っていたようです。特に、この「The Lion, the Witch and the Wardrobe」に関しては、キリスト教を前面に出し、人気を得たLewis氏と、ストーリー性を重視し、キリスト教は物語の奥深くに存在すればいいというTolkien氏の意見は、まったく交わらないものでした。

 キリスト教をほとんど知らない私でも、「The Magician's Nephew (Chronicles of Narnia, Book 1)」を読んだときは、キリスト教を思い浮かべました。今回の「The Lion, the Witch and the Wardrobe」は、さらにキリスト教の根幹部分にせまるものテーマになっていました。キリストの復活です。

 自らの命を犠牲にし、その後、復活を遂げる。

 直球そのものといった感じです。そのあたりが、この物語を好きになれるかどうかの分かれ目かもしれません。あまりにキリスト教と強く結びついていて、好きになれないという意見も聞きます。

 今回の物語は、Peter、Susan、Edmund、Lucyという4人の兄弟姉妹が、不思議な洋服だんすに入りこむと、そこはNarniaとつながっていた、という話です。第1巻の「The Magician's Nephew」では不思議なリングをはめるとNarniaに来るというものでした。どうも毎回、Narniaに来る方法も来る子どもたちも違っているシリーズのようです。

 一番最初にNarniaに迷い込むのは、Lucyです。誠実で嘘など言わない優しい末っ子ですが、さすがにNarniaに行ってきたということは突拍子もない話で、ほかの兄弟姉妹に信じてもらえません。やんちゃなEdmundには、さんざんからかわれます。でも、そのEdmundもかくれんぼで洋服だんすに隠れ、Narniaに迷い込んでしまいます。そして、最後には4人ともNarniaに行き、色々な出来事に巻き込まれます。

 しかし、物語の主役はやはりキリストです。キリスト教に対して良い印象を持たれていない方にとっては、読む気がそがれてしまう本かもしれません。
posted by 作楽 at 08:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月22日

「The Magician's Nephew (Chronicles of Narnia, Book 1)」

20071022[TheMagiciansNephew].jpg

C. S. Lewis 著
Harpercollins Childrens Books 出版

 ある翻訳家の方がこういう話されているのを聞いたことがあります。

 英米文学の根底にあるのは聖書で、その聖書の一部のどの面をどう変えてストーリーにするか、何を付け加えてストーリーにするかを作家たちは考えているに違いない。それくらい、英語で書かれている本と聖書との関係は密接で、聖書を理解していることは、作品の背景を知ることにとても役立つ。ひいては、日本語に訳すときにも役立つ。

 たしかに、英米諸国における宗教の役割は大きく、文学作品にも影響を与えていても当然だと納得しました。

 その話を思い出したのは、この本の中に聖書からきたものだと思う場面がかなりあったからです。でも、聖書の教えを伝えるというかたちをとっているわけではありません。この本は「ナルニア国ものがたり」というような名前で日本語にも翻訳されています。宗教、特にキリスト教やユダヤ教と馴染みの薄い日本の土壌からか、宗教色が強い小説が翻訳されるケースは稀です。ビジネス面からいうと、そういう本は売れないのだと思います。そう考えると、客観的に見ても、この本は宗教の色が特別濃いわけではないと思います。

 この本は、タイトル通り、Narniaという国のChronicles(年代記)です。第1巻は、Narniaの誕生の巻です。Narniaは、私たちのいる世界とは別のところにあり、この本の表紙になっているリングを使って行くことができる場所とうい設定です。その誕生は、聖書に語られている創世記を思い起こさせる部分がかなりあります。

 Narniaと名付けたのは、Aslanという光り輝くライオンです。不思議な力を持ち、Narniaを支配しようとした魔女から守り、人間の男とその妻を王と王女に定めます。その王や王女を含め、人間たちはAdamの息子あるいはEveの娘と呼ばれます。またAslanは、すべての動物からつがいを選び出し、王と王女に代々、それらの動物を守るよう伝えます。そのあたりは、ノアの方舟を思い出させます。また、Narniaを最初に訪れた人間はDigoryという少年とPollyという少女です。(本のタイトルにある魔法使いの甥はDigoryです。)そのDigoryはAslanから遠くまで旅をして木の実を取ってくるよう言われます。その木の実は銀のりんごでした。Digoryがりんごを手にした途端、意地悪い魔女が現われ、そのりんごをAslanに持っていくのではなく、病気の母親に持っていけば彼女の病気が治るとそそのかされます。エデンの園を思い出させます。

 Digoryという少年は向こう見ずで失敗をしたりもするのですが、人のことを思う優しい気持ちももちあわせていて、物語にひきこまれてしまいます。児童書なので、勧善懲悪の傾向が強いのですが、そういうシンプルさも含めて、楽しめたので、次の巻も読んでみます。
posted by 作楽 at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月01日

「Pigeon Post」

20071001[PigeonPost].jpg

Arthur Ransome 著
Red Fox 出版

 サザエさんは、いつまでも変わらないテレビ番組のひとつだと思います。今でも携帯電話が出てこないで、駅前の公衆電話を使っていたりします。また、子供たちもテレビゲームやポータブルゲーム機で遊んだりしません。夏休みになると、どこにも遊びに連れて行ってもらえない子供たちは、庭でテントを張りキャンプ気分を味わったりしながら、子供たちだけの冒険のふりを思い切り楽しんだりしています。

 昔のすべてがよかったと言うつもりもありませんが、サザエさんの中の人たちを見ていると、どこかでほっとしていて、その状況を一緒に楽しんでいると思うときがあります。

 このArthur Ransomeのシリーズもそんな気分になれる児童書です。

 Arthur Ransomeは、20世紀前半にイギリスの湖畔地方に住んでいたそうです。そのあたりの風景がこの「Pigeon Post」にも盛り込まれている気がします。

 Roger、Titty、Nancy、Peggy、John、Susan、Dick、Dorotheaという8人の子供たちだけで、金を掘り当てようと金脈があると思われる場所にテントを張り、キャンプをします。

 子供たちは年齢の幅はあるものの、所詮大人からみれば、子供。子供たちだけのキャンプは当然大人からの反対にあいます。しかし、それをひとつひとつ解決しながら、子供たちは金鉱探しのキャンプを実現させてしまいます。

 たとえば、水。金脈があると推測している場所の近くでキャンプしようにも水がありません。手や顔を洗ったり清潔に過ごすための水がないとキャンプは無理と言われてしまいます。そうすると、ダウジングをして水源を探し当て、水を確保します。

 また、問題なくやっていることを毎日大人に知らせるよう求められます。そこで考えたのが伝書鳩。この本のタイトルになっている鳩です。3羽いる伝書鳩を毎日家まで飛ばし、3日に1度だれかが家からキャンプ場まで鳩を連れ帰るという計画です。しかし、鳩がいつ帰ってくるかわからないのに、それを見張っているわけにはいかないと大人に言われると、鳩が鳥小屋に入るとベルが鳴り続ける仕組みをつくり、大人を説得します。

 次々と立ちはだかる問題に対処しながらやっと実現するキャンプ。しかも、宝探しつき。そんな経験はしたことはありませんが、今流行りのゲームとはまったく違った楽しみが伝わってきます。

 そして、楽しいのはキャンプだけではありません。金脈探しです。しかし、こちらにも問題が持ち上がるのです。自分たちが探している金をほかのだれかも狙っているようなのです。そのライバルより先に金を見つけなくてはなりません。

 そして、さらなる事件や意外な結末も用意されていて、Arthur Ransomeが過ごした湖畔の風景を思い浮かべながら、楽しめます。

 「Pigeon Post」は、「Swallows and Amazons」で始まるシリーズで、私はたまたま縁があってこの本から読み始めましたが、「Swallows and Amazons」から読み始めるほうが、より楽しめるのではないかと思います。
posted by 作楽 at 00:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月09日

「Chasing The Falconers (On the Run)」

20070709[ChasingTheFalconers(OnTheRun)].jpg

Gordon Korman 著
Scholastic Paperbacks 出版

 「Rose Queen」のMissing Personsシリーズと同じく、未成年が犯罪に関わってしまうシリーズ。といっても、こちらも、なんともいえない複雑な事情があり、いたしかたないといった雰囲気で、同情してしまいます。

 この本が、Missing Personsシリーズと大きく違うのは、ハラハラドキドキ具合です。Missing Personsシリーズの比ではありません。Missing Personsシリーズ第1巻の「Rose Queen」は、とりあえず逃げ出したものの、逃亡先ではそれなりに穏やかな日常を手に入れられそうな雰囲気で終わります。一方、こちらは、どこまで逃げるのかさえもまだ見えず、追いかけられている状況の中、ある人を追いかけなければならないという使命を背負っているのです。

 主人公は、15歳の少年Aidenと11歳の少女Meg。ふたりは、少年矯正施設で生活していますが、別に犯罪を犯したわけではありません。両親がある事件の犯人として逮捕され、終身刑を宣告されてしまったため、行き場がないだけなのです。もちろん、親戚からは冷たい目で見られ、ひきとってもらえるどころの話ではありません。

 しかし、彼らは親戚と違って、両親の無実を信じているのです。

 博士号を持ち、教授という職に就いていた両親は、犯罪学者です。あるとき、CIAのある捜査官の依頼を受け、テロリストを見つけ出すのに協力します。しかし、両親の情報がテロリスト側に漏れ、テロリストは探し出されていることを知ります。そのことにより、状況は一変します。両親はテロリストに加担した、つまりテロリスト幇助の罪で訴えられてしまうのです。CIAからの依頼であることを証明できればいいのですが、その捜査官が名乗りでてきてくれず、会うことができません。

 そして、AidenとMegが目指すのは、そのテロリスト探しを持ち込んだFrankというCIAの捜査官を探し出し、両親の無実を証明するというもの。

 15歳の少年と11歳の少女には大き過ぎる負担だとAidenは思いながらも、Megの一途な思いに突き動かされながら、施設から逃亡した後、Frankの手がかりを探します。

 とにかく、スケールが大きい分、スリルも大きいので、ドキドキ感を味わいたい方はどうぞ。
posted by 作楽 at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする