2007年02月02日

「Burnt」

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Anthony Horowitz 著
Orchard Books 出版

 雑学を扱うクイズ形式のテレビ番組で、ミステリとサスペンスの違いについて出題されていました。ミステリは、視聴者(読者)が犯人を知らないまま進行するものだそうです。一方、サスペンスは、視聴者(読者)は犯人を知っていながらも、ドキドキハラハラしながら展開を楽しむものだそうです。

 では、ホラーというジャンルはどう定義されるのでしょうか。本のジャンルというのは、私にとってよくわからないことのひとつです。でも、この「BURNT」は、たぶん、ホラーに分類されるのではないかと思います。「BURNT」「the MONKEY'S ear」「the shortest HORROR story ever written」の3編が収められているのですが、一番最後の「the shortest HORROR story ever written」には、Horrorという言葉が入っていますし、どの短編をとっても、たしかに結末は怖いのです。

 それでも、私が読む限り、「Burnt」「the MONKEY'S ear」は笑いを誘う面があります。怖い、という感じよりも、皮肉っぽい笑いを感じます。そして、すべてが見えたあと、結末で怖さを感じるようになっています。

 「BURNT」は、青白いがために、健康的に見せるため日焼けしようと必死に頑張る人の話です。その頑張りようというか、頑固さが、顔がちょっと引きつるような笑いを誘うのです。また、「the MONKEY'S ear」は、言葉の音に着目し、展開が見えたときに、にやっと笑ってしまいました。

 ホラーなのですが、ちょっと笑える異色の2編、「BURNT」と「the Monkey's ear」は読む価値があると思います。最後の「the shortest HORROR story ever written」は、おまけ、といった感じでしょうか。
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2007年01月30日

「Scholastic Dictionary of Idioms」

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Marvin Terban 著
Scholastic Inc. 出版

 児童書とはいえ英語の本を読むようになると、よくわからない慣用句が気になるようになりました。でも、いちいち辞書をひくのも面倒なので、あまり気にしていなかったのですが、なにげなく調べた最初の慣用句が"spill the beans"。由来を知ると、へぇ、そういう時代があったのか、と言葉の年輪を感じて、楽しくなりました。また、そういう印象が残ると、ひとつひとつの単語の意味からは想像しにくい慣用句を覚えるのにも役立つと考えて、書き残したのが、"spill the beans"。

 そのあとも、"bull's eye"、"let the cat out of the bag"、"Okey-dokey"と書いていくうちに、もっと色々知りたくなりました。

 それで探してきたのが、この「Scholastic Dictionary of Idioms」。私が読んでいる児童書と同じレベルの児童向け本です。

 読み物としても使え、リファレンスとしても使えるよう工夫されています。巻末に、慣用句のみのインデックスもありますし、慣用句の一部のキーワードのインデックスも付いています。

 肝心の本体部分は、慣用句がアルファベット順に並んでいて、例文、意味、由来がそれぞれに載っています。"spill the beans"と"let the cat out of the bag"は載っていますが、"bull's eye"や"Okey-dokey"は載っていません。それでも、全部で、700以上の慣用句が収められています。

 ときどき、気が向いたときにパラパラと読んでもいいですし、興味をもった慣用句を引くリファレンスとしても便利に使えるし、当分手元に置いておきたい1冊です。
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2007年01月25日

「Double Identity」

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Margaret Peterson Haddix 著
Simon & Schuster 出版

 「どうして?」という疑問が湧いたら、それを放っておけない性格です。そのため、本を読んでいても、「どうして?」と思ったら、その答えが出てくるまで読まずにはいられません。

 この「Double Identity」は、両親と12歳の娘、Bethanyが車で移動するシーンから始まります。母親は車内で泣き続け、Bethanyは行き先も、どうして母親が泣き続けるかもわからないという不安な気持ちを抱えたまま、車の後部座席から両親を見つめています。

 車はある1軒の家に着き、父親はその家の女性と話をした後、Bethanyだけをその家に置いて、去っていきます。その家の女性は、Bethanyの伯母、Myrlieだというのですが、BethanyはMyrlieの話を聞いたことさえないのです。会ったこともない女性の家にひとり残されるBethany。

 どうして、Bethanyはこんな目に遭ってしまったのでしょう。Myrlieは、本当な何者なのでしょう。色々な疑問が次から次へと湧いてきます。そして、感受性が強く、言葉に敏感なBethanyが大人の会話の内容から、思いを巡らすにつれ、さらに私の疑問も大きくなっていきます。

 「どうして?」の答えがわかりかけてくると、次の「どうして?」が現われ、最後の最後まで、疑問を追いかけるかたちで、息もつかず、読み続けてしまいました。

 比較的重いテーマを扱っているにも関わらず、殺伐とした利害を中心に物語が構成されているのではなく、深い愛情ゆえに事件がひきおこされているため、いやな読後感がありません。

 心理描写が巧みで、ぐいぐいと読者を惹きつける力がある本です。
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2007年01月22日

「Night Bus」

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Anthony Horowitz 著
Orchard Books 出版

 騙されやすい人と騙されにくい人に分類すると、私は、間違いなく騙されやすい人に入れられてしまうタイプです。心のどこかで、人を騙すよりは、騙されているほうが気持ちが楽、という思いがあるので、たぶん、死ぬまで騙されやすい人なのだと思います。本音では、絶対人を騙すことなく、人に騙されることもない人になりたいのですが、なかなか騙す側のことをまったく考えずに、騙そうとしている人を見抜けないものです。

 でも、そういう私の単純なところは、本を読む上では、かえって都合がいいのかもしれません。作者のミスリードに簡単にひっかかり、「えー、そうなるの?」と、結末で受ける衝撃が、たぶん人よりずっと大きいと思います。

 「Night Bus」には、3編の短編小説が収められています。「the Night Bus」「the Hitchhiker」「the man with the Yellow face」です。なぜか、「the Night Bus」は、私にも結末が予測できてしまったのですが、「the Hitchhiker」は、結末で、まさしく「えー、そうなるの?」と驚いてしまいました。

 ハラハラドキドキ感をうまく盛り上げている短編が集められていると思います。かといって、夢の中で反芻してうなされてしまうほどの怖さでもありません。ほどよく楽しめるスリルだと思います。

 英語の本は読むのが億劫で、と躊躇されている方には、短くて、読み始めると先が気になってしまうこういう本はお勧めです。
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2006年11月28日

「Changeling」

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Delia Sherman 著
Viking Juvenile 出版

 「輝く断片」「取り替え子」と、取り替え子の伝説が登場する本を読み、取り替え子そのものの話を読んでみたくて、選んだのが、この「Changeling」。

 取り替え子は古くからある伝説のようです。妖精が人間の子を妖精の世界に連れてきて、その子そっくりの子を身代わりに置いてくるという話です。

 その話は、ずいぶんと突飛だと私は思うのです。どうして、人間の子供を妖精の世界に連れてこないといけないの?どうやって、その子供を決めるの?どうして、身代わりの子供が必要なの?

 伝説の生まれを想像すると、色々な疑問が湧いてくるので、その疑問の答えを想像しつつ読み始めました。

 舞台は、New York Between。アメリカのNew Yorkにありながら、妖精の世界は別世界になっていて、意識ある人間には見えません。人間は眠っている間だけ、存在できる場所なのです。そのNew York Betweenに、赤ん坊のときに人間界から連れてこられ、ここで成長したNeefという女の子が主人公です。Neefは、妖精のあらゆる種類の言語、無数のおとぎ話などを教えられ、人間を食べようとする妖精に食べられないよう保護を受けながら育ちます。

 あるとき、あることがきっかけで、Neefは冒険に出なければいけなくなります。それも、自分の身代わりとして人間界で育った女の子と。

 冒険は、聞いたこともないような妖精たちや、日本に古くから伝わるキツネや天狗なども登場し、山アリ谷アリで、引き込まれる冒険話になっています。そして、時々私がひっかかったのは、人間としてのNeefの性質。

 妖精などという人間以外の存在により、人間というものが浮き彫りになってくるのです。

 人間というのは、好奇心が旺盛でダメだ、とNeefは養母などから言われます。すぐに「どうして?」という疑問が湧き起こってくる私は、ドキッ。

 ほかにも、約束の重みも妖精の世界と人間の世界ではまったく違います。妖精の世界の約束は絶対なのです。Neefが自分の身代わりを守っていくと約束したことを、周りの妖精は咎めます。約束は、すべてを賭けて、守りぬかなければならないからです。

 また、Neefは、ある嘘をついてしまいます。何気なく嘘を言いながらも、あとで、後悔し、本当のことを打ち明けることになります。

 妖精と人間。そのコントラストと意外な共通性とが織り込まれた冒険話は、ワクワクしながらも、チクッと心に刺さるものがあります。
posted by 作楽 at 00:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:9-12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする