2010年01月14日

「大阪の文化と笑い」

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井上 宏 著
関西大学出版部 出版

 講演や雑誌などへの寄稿をまとめた本です。そういう成り立ちなので仕方がない面もありますが、重複内容があまりに多いので、飛ばしながら読むのがいいようです。

 関西の文化に接していると、言われるまでのことはないと思う内容もありますが、目新しく感じる点もありました。

 ひとつは、漫才を類型化する試みです。ここでは、8つに分類されています。(1)洒落 (2)悪態 (3)ホラ (4) 脱線 (5)混線 (6)屁理屈 (7)真似 (8)狡猾です。こういう分類をしてみようというのは、なかなかおもしろい試みだと思います。よく目にする芸人さんを思い浮かべながら、分類に当てはめてみたりと楽しめました。

 もうひとつは、ことばと笑いの関係についてです。大阪弁は「ほとんどすべて『笑い』というものに結びついていく可能性をもっている」ということです。大阪弁で話すから、笑いにもっていきやすいという発想をもっていなかったので、新鮮に感じました。この考えは、「大阪ことば学」という本で紹介されているようなので、こちらも読んで、どういう大阪弁が笑いのもとになっているのか、たしかめてみたいと思います。
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2010年01月07日

「大阪人の胸のうち」

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益田 ミリ 著
光文社 出版

 関西出身で関東に住むようになったという点に、著者とわたしは立場が似ています。ただ、著者のほうが関東在住歴が長く、観察力が優れているのか、言われてみてあらためて気付く点がありました。

 たとえば、大阪人のサービス精神について、次のように書かれています。
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 世間さまが期待しているのを察し、つい調子に乗ってやってしまうサービス精神。大阪人はいつも損得ばかりで動いているわけではなく、ときには、損をしてでも笑いを選んじゃう清々しさを持ち合わせているように見える。
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「笑い」は関西人にとって大きなものさしです。仕事上の議論でも、優先順位は2位くらいを確保しているような気がします。まして、雑談となると、「笑い」の地位はトップから動くことはありません。東京の人と話していて、オチはいつ? それのどこが面白いの? と、わけがわからなくなり、会話についていけない迷子になったことがよくあったことを思い出しました。

 あと、おじさん世代の、駄洒落というかおやじギャグにかける熱意も半端ではない気がします。100回無視され続けても、101回めにクスッと笑ってもらえたらいいくらいの熱意を感じます。この本で紹介されているのは、ある社員食堂のおじさん。メニューボードにダジャレを活用しているようです。
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●景気を揚げそば(揚げそば)
●華麗なる昼食(カレーうどんとかやくご飯のセット)
●手前味噌カツ(普通の味噌カツ)
●味のいい! アジの塩焼き
●チキンのから揚げ 阪神タイガース風(から揚げ)

 最後の「チキンのから揚げ 阪神タイガース風」は、最初、なんでこのネーミングなんだろう? と考えていたら、から揚げが6個(六甲)と大根おろし付きで、六甲おろし……。
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 害はないものの、その熱意がどこから来るのか、関西だけで育つものなのか、関西出身でも答えられません。でも、たしかにこういうおじさんは、関西ではどこなりと居そうです。

 「言えないコトバ」のときも思いましたが、この著者はタイトルにあるとおり「胸のうち」を表現するのがうまいと気がします。言われてみればそうかも、と見逃していたことに気づきました。
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2009年12月14日

「「関東」と「関西」こんなに違う事典」

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日本博学倶楽部 著
PHP研究所 出版

 統計などの数字をベースに関東と関西を比べるのが基本になっています。根拠が明らかになっているので、一応納得できます。しかし、不思議と「一応納得」なのです。(首をぶんぶん振って同意できるわけではないのです。)それはやはり、日々の細かい観察に思い入れを加えた内容のほうが、説得力があり共感できるということではないでしょうか。

 しかし、ひとつ面白いと思える数字がありました。
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 接続詞を「そんなら」、「ほな」、「それじゃ」、「それなら」などの誘導型と、「しかし」、「それでも」、「そやけど」などの対立型に分け、東は夏目漱石の『吾輩は猫である』の会話部分、西は五、六代目笑福亭松鶴の落語が百編載った三田純市編『上方落語』の会話部分で使われている回数を調べたのだ。
 その結果、誘導型と対立型は、『吾輩は猫である』は五七対五八でほぼ同数だったのに対し、『上方落語』一五九対三九。圧倒的に誘導型が多かったのだ。
 まず何かを述べて、「しかし」と対立型の接続詞で、いったん踏みとどまって自己主張する、それが近代的な東京風の会話の展開であり、相手の話を受けて、「ほな」と自分の領分に話を引き継いでから自己主張するというのが上方風の会話なのだという。
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 「ほな」と自分の領分に話を引き継いでいるのかどうかわかりませんが、相手の結論に不満があるとき、つまり反論したいときでも、「でも」は使っていないと自分でも思います。「ほな、〜はどうなるん?」など、よく言っていました。つまり、〜の点で分が悪いとはっきりと伝わるようには言いますが、「でも」から始めてはいなかった気がします。言われてみて、初めて気づきました。これから、関東の人がこういうタイプの接続詞を使っていらっしゃるかも、気をつけてみたいと思いました。

 わたしは関西出身なので、こういう両方の地域を均等に見る本よりも、片方の地域にしっかり軸を置いている本のほうが好きです。
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2009年12月04日

「関西人の取扱説明書」

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千秋 育子 著
辰巳出版 出版

 「おいしい」ということばの意味は複数あると思います。ひとつは、食べものが旨いときに使います。また、仕事などで役得にありついたときなどにも使います。関西人の場合、後者の延長で楽をして笑いをとれたときなども、オイシイと言います。

 常に場を和ませることを考えている関西人は多いように思います。ただ、相手が初対面でツッコミを入れにくい場合など、難しい状況もあります。そういうとき、自分をネタに笑いがとれると重宝します。具体的には、外見上にツッコミやすい要素を持っている人などです。(こういうケースでもオイシイということばを使います。)極端に太っていたり痩せていたりも当てはまりますし、誰が見ても頭髪が薄かったりも当てはまります。

 こういう感覚でオイシイということばを使うのは、関西周辺に限定されるかもしれないと思っていたところ、この本にはしっかり載っていました。やはり関西人の特徴のようです。

 この本では関西人のことがかなり正確に描写されていると思います。関東の人たちと接するなかで、相手はこういう価値観を持っていないかもしれないと、普段から疑っていたようなことが次々と出てきました。もし、関西に転勤することになり不安に思われている東京の方などは、関西人をうまくあしらうヒントを得られるのではないでしょうか。そこまでいかなくても、少なくともコミック感覚で笑えると思います。(関西人の常日頃が、それだけでおもしろおかしく描けると思うと、凹まないでもありませんが。)

 なにしろ1000円(税別)なので、お得感はあります。
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2009年11月17日

「大阪人の説明書―自分が一番おもろいで!」

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NAN DE YANEN 著
双葉社 出版

 感想をひとことにまとめると、物足りなかったです。

 読者が分野別(基本スペック・文化モード・恋愛モード・食生活モード・言語モード・望郷モード)のチェックシートに答えていって、その該当数で大阪人度合いがわかるようにできています。

 大阪に長く暮らす人が見れば、チェックシートの妥当性もわかるかと思いますが、その根拠に疑問を持たれる方や大阪人らしさの度合いだけわかっても仕方がないと考える方には向かない本だとは思います。(解説部分が少なくて、タイトルにあるようには「説明」できていません。)

 よくできたチェックシートだと感心する部分もあるのですが、それでも1000円という値段を考えると割高な気がしました。
posted by 作楽 at 00:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(関西) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする