2020年02月20日

「イケア イングヴァル・カンプラード」〜世界の大起業家から学ぶ 〜

20200220「イングヴァル・カンプラード」.jpg

フレドリック・コルティング/メリッサ・メディナ (Fredrik Colting/Melissa Medina ) 著
ジョルダーノ・ポローニ (Giordano Poloni) 絵
岩崎書店 出版

 あの IKEA の創業者の人生を絵本にしたものです。

 わたしは子供のころ、いちおういくらか伝記を読みましたが、そのなかの偉人たちに対し、自分が住む世界とはまったく異なる時代に生きた過去の人といったイメージを抱きました。しかし、この本で描かれるイングヴァル・カンプラードは、2018年まで活躍していた実業家で、同じ時代を生きた人生の先輩といった趣があり、こういう人生譚を絵本というかたちで子供たちが読むのもいいのではないかと思いました。

 薄い絵本にするために、IKEA の創業者のどのような面を切りとったのか興味深いところですが、決して裕福とはいえない家庭に生まれたこと、5 歳のころにはすでに商才が芽生えていたこと、失読症だったこと、17 歳で高校を卒業したことなど、押さえるべき情報は押さえられているようです。

 ただ古い車に乗り、仕事にお弁当をもっていくといったカンプラードのライフスタイルから『ぜいたくをしない』人だと判断し、その目的を『むだづかいをしない』ためと決めつけているのは、少し行き過ぎではないかと思いました。ビジネスパーソンとして、自分が所有する企業で働く人たちを慮っているだけかもしれません。また『ぜいたく』と『無駄』を同一視する価値観を押しつけることに対しても少し疑問を感じました。
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2020年01月31日

「酸素は鏡に映らない」

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上遠野 浩平 著
講談社 出版

 窓付きの装丁が気に入って購入した本です。中身に対する印象は、独特な世界観のなかに入りこめず、消化不良を起こしてしまった感じでした。

 それでシリーズの途中から読んだのかもしれないと調べてみると「ブギーポップ」というライトノベルシリーズを読んでおくべきだったようです。このシリーズ全体を流れるテーマが何かはわかりませんでしたが、この本のテーマはタイトルにある『酸素』です。

 わたしたち人間にとっての『酸素』の捉え方が、一般的イメージとは少し異なっていました。まるで預言者かのような物言いをする柊という登場人物はこう語っています。
++++++++++
酸素とは触媒だ。
モノを燃やす……そういう働きをするものだ。生命とは、どんな小さなものであっても、エネルギーを燃焼させて、生きている……だからモノを燃やすモノとしての酸素が必要なのだ。
つまり……酸素とは……危険なものだ。
++++++++++

 酸素を必要不可欠とするのではなく、危険物としてみなす考えが新鮮でした。そして、この柊と会話を交わしている健輔という少年が、酸素が危険なら毒みたいなものかと問いかけ、そのとおりだと柊は答えます。
++++++++++
人間は……その成分のほとんどは、毒でできているのと同じだ。
他を取り込み、毒で溶かし、燃やし、己のものに造り変えていくことが、生命の本質――呼吸レベルから、それは身に染みついている……それは、人が人を求めるときでも、同じことが……刺激物が、毒が、つねにそこには存在している……。
++++++++++

 喩えがわかりやすいかどうかは別として、人の性質として、そういう面もあるように思います。
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2020年01月17日

「夜中にジャムを煮る」

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平松 洋子 著
新潮社 出版

 この本を読み、著者は料理研究家だと思ってしまいましたが、エッセイストだそうです。わたしがそんな誤解をしてしまうほど料理満載の一冊です。

 わたしの場合、料理ができないのでレシピを参考にするということはないのですが、道具類については心惹かれるものがありました。ひとつは、お米を炊くための鍋『黒楽御飯鍋』で、美味しいご飯が炊けそうなうえ見た目が気に入りました。著者同様わたしも炊飯器を手放せないか考えたことがあり、実行に移すおりには参考にしたいと思います。

 もうひとつは、蒸し野菜が上手にできるというドイツ製『クリスピー・カバー』です。外側がカリッ、内側がしっとりジューシーに焼き上げられるそうで、野菜以外にも幅広く使えそうなのですが、売り切れ状態で手に入れるのは難しそうでした。

 料理にあまり関心を持てないわたしには『豚に真珠』といった感じの本でした。
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2020年01月16日

「無から生まれた世界の秘密 宇宙のエネルギーはなぜ一定なのか」

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P. アトキンス (Peter Atokins) 著
渡辺 正 訳
東京化学同人 出版

 物理学も数学も苦手なわたしがこの本を最後まで読めたのは、『数式はみな本文から落とし、巻末の注記に押しこめ』るという方針のもと、言葉 (だけ) で自然界の法則が説明されていたからです。物理学関連の書籍はどれを読んでも数式を理解できずに前に進めなくなっていたので、助かりました。また、擬人化された説明も読みやすく感じられました。

 たとえば、宇宙誕生の際、わずかなこと (not much) が宇宙を生み、造物主 (神) のようなものは、手抜き (怠慢、サボり indolence) をし、同時にアナーキー (無政府状態、無秩序 anarchy) も大きな要因となり、不可知 (知りようのないこと、無知 ignorance) が手助けしたと著者は考えています。

 キーワードが『わずか』『手抜き』『アナーキー』『不可知』だとわかりますが、相互の関係は漠然としてよくわからない説明です。そこを著者は、さまざまな理論・原則を紐解きながら、本書の終わりには読者がそのとおりかもしれないと感じるようなところまで持っていきます。

 ひとつ例をあげると、光の反射の法則や屈折の法則などはどれも、『光は、出発点から終点まで最速で着ける経路をたどる』と言い換えることができるそうです。

 光の動きに先述の『アナーキー』を当てはめ、光が出発点から終点まで無秩序に (勝手気ままに) 動いたと仮定します。そうすると、電磁波である光は、それぞれ別ルートで届いたとき電場が互いに打ち消しあう結果になりますが、例外的に打ち消しあわないのが、最短ルートをとった光だというのです。これを著者は、『アナーキー』がこの『光は、出発点から終点まで最速で着ける経路をたどる』という法則を生んだのだと述べています。

 こうして多種多様な法則を例に、『わずか』『手抜き』『アナーキー』『不可知』に触れていくと、著者の理論の核が薄っすらと見えてきたような気がしたのが不思議でした。
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2020年01月15日

「ほのぼの英語:1 コマ漫画で親子の日常英会話」

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デイビッド・セイン (David Thayne)/堀 道広 著
東京書籍 出版

 わたしの英語は、仕事で使う英語であれば何とかなるいっぽう、日常的な会話となれば手も足も出ないレベルです。だから、子供を対象としたこういう本は意外に勉強になりました。

 一番気に入ったのは短いクイズです。おもしろいものを抜粋しました。まずは、子どもと縁がなければ知ることができないものから。

Q1. 別れのあいさつで See you later (またね) のあとにふざけて「ある動物の名前」をつけて言うことがあります。さて、何の動物?

A1. alligator
See you later alligator. (じゃあね) と言われたら、After a while crocodile. (うん、バイバーイ) と返すのがお約束です。

Q2. 「いないいない、バァ〜」を英語で言うと?

A2. Peek a boo!
「ピーカーブー」と、最後の「ブー」に力を入れて面白い顔をすればバッチリ!

Q3. 英語で「おんぶして」は Give me a _____back. (_____back で 1 語) と言います。_____に入るのは何という単語でしょう?

A3. piggy
Give me a piggyback. で「おんぶして」。piggyback で「おんぶ」「肩車」です。

Q4. 「おしっこ」が pee なら、「うんち」は何て言う? (注意:人前でこんな言葉を使って OK なのは、子どもだけですよ!)

A4. pee が「おしっこ」、poo が「うんち」。「うんちしたい」なら、I want to go poo. です。

Q5. 「お気に入りのぬいぐるみ」を binky と呼びますが、それは「持っていると安心できるもの」ということで、ある単語が元になっています。それは何?

A5. blanket
blanket (毛布) の幼児語を blankie といい、それが元になって blankie→binky となったようです。

次は、子どもに限定しない話題ですが、わたしにとって目新しかったものです。

Q6. 「チャックが開いてるよ!」とは言いにくいもの。これを最短で伝えるアルファベット 3 文字は?

A6. XYZ
Examine your zipper. の略。「あなたのチェックをよく確認しなさい」という意味です。XYZ と言えば OK! また、Check your zipper. とも言います。

Q7. 英語では「しその葉」を _____ plant と言います。_____ にはアメリカ人が大好きな食べ物の名前が入りますが、さて何でしょう?

A7. beefsteak plant
英語ではなぜか「しその葉」を beefsteak plant と言いますが、これがどんな植物か知っているアメリカ人はほとんどいません。

 日々の暮らしに必要のない言語を習得するのは、やはり難しいものです。
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2019年12月29日

「三つ編み」

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レティシア・コロンバニ (Laetitia Colombani) 著
齋藤 可津子 訳
早川書房 出版

 暮らす国も望みや悩みも異なる三人の女性の人生が三つ編みのように編みこまれた作品です。登場するのは、インドのカースト制度の外側に位置づけられる不可触民 (ダリット) として生まれ自らの手で糞便を集めて生計を立てているスミタ、イタリアのシチリアで祖父が始めた家業を手伝う 20 歳のジュリア、カナダでアソシエイト弁護士として働きながら 3 人の子供を育てている 40 歳のシングルマザーのサラです。

 最初は何の関わりもないように見えた三人が物語が最後で綺麗に交わる構成は見事で、よくできた作品だと思わずにいられませんでした。実際この作品は、32 か国で翻訳され、様々な環境のもとに暮らす人たちに様々な言語で読まれたベストセラーです。

 巻末の解説では『いわゆるフェミニズム小説』とありますが、わたしは、そのことばに少し違和感を覚えました。日本に住むわたしが、カナダの状況を理解できているとは言い難いかもしれませんが、カナダのサラのように、人を蹴落としてでも権力ある立場に立とうとする人たちに混じって椅子取りゲームに参加すれば、男性でもサラと似た立場に追い込まれたのではないかと思いました。

 ただ間違いないのは、インドのスミタの目には恵まれているように映るであろうサラの立場でも、闘わなければ手に入らないものが数多くあるのが現実で、人はそれぞれ自分が求めるものは自分で掴み取らなければ手に入らないということだと思います。そして、行動を起こさなければ何も変わらないということも、スミタ、ジュリア、サラのように置かれた環境が違っていても、共通するのではないでしょうか。

 三人の人生が交わったのは、それぞれが自分で行動を起こした結果だということに意味があるように思えました。
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2019年12月28日

「毎朝こんぶ茶を飲んだら 2 週間で 3kg やせた」

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工藤 孝文 著
CCCメディアハウス 出版

 こんぶは、ヨーグルトや生姜同様、抗アレルギー作用が期待できる食品だと、どこかで読んだことを思い出し、読んでみました。しかも、減量できるなら、一石二鳥です。

 こんぶ茶が減量に役立つのは、シュガースパイラルを抜けられるからだそうです。シュガースパイラルとは、1. 糖質の多い食事をとる → 2. 脳が快感物質ドーパミンや幸せホルモン セロトニンを分泌 → 3. 血糖値が上昇 → 4. 膵臓からインスリン分泌 → 5. 血糖値が急降下 → 6. アドレナリンが分泌され禁断症状が起こる、そうしてまた 1. へ戻るという中毒症状のような繰り返しから脱却するために味覚をリセットできるこんぶ茶を飲もうということのようです。脳内物質に基づく説明なので、科学的根拠もありそうです。

 また、ある研究結果では、胃などの内臓にも味覚センサーがあるとわかったそうです。そのセンサーは、うま味成分のグルタミン酸に反応し、ON になると代謝が活発になる仕組みなので、こんぶ茶で代謝をあげると減量に役立つと考えられています。

 いろいろ魅力的な効果がこんぶにはあるようですが、実際一番いいと思ったのは、その手軽さです。粉末こんぶをお湯に溶かして飲むだけでいいそうです。これでアレルギーを初めいろいろな効果が期待できるのであれば試してみたいと思いました。
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2019年12月27日

「星宙の飛行士 宇宙飛行士が語る宇宙の絶景と夢」

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油井 亀美也/林 公代 著
実務教育出版 出版

 いままで想像したこともなかった光景が次々と登場して圧倒されたことと油井氏の人柄が印象に残りました。

 宇宙飛行士である油井氏は、人工衛星が撮る写真とは違う、人間がいるからこそ撮ることができる写真を撮るという意図のもと、地球の夜景など構図に工夫を凝らした写真を数万点も撮影されました。そのなかから厳選された 91 点の画像がこの本に収められているのですが、撮影の苦労が実感できたのは、油井氏が宇宙で滞在していた ISS (国際宇宙ステーション) が秒速 8km 、東京と大阪の間を 1 分間で移動できるスピードで移動している点です。

 猛スピードで流れていく風景に合わせて手持ちのカメラも移動させるのは至難の業だったことでしょう。そうして流し撮りされた写真のなかには、歴史を感じさせるものもあります。ドイツ・ベルリンの夜景では、街明かりの色が半分ずつ異なっています。東西分裂時代に西と東で使っていた街灯がそれぞれガス灯とナトリウム灯と違う種類だったため、その夜景から今も分断時代を伺うことができます。

 そのほか、上空から見る台風の目、日本実験棟『きぼう』が青く染まって見える夜明け (ISS では 45分に 1回夜明けを迎えます)、オーロラのある景色に月光が映りこんだ幻想的な光景など、地上からの景色しか知らないわたしにとっては不思議な写真ばかりです。

 また油井氏は、YouTube でユニークな映像を公開していて、この本に掲載されている QR コードから簡単にアクセスできます。わたしがちょっと笑ってしまったのは、宇宙でピーナッツを食べる方法です。

 束の間、宇宙旅行の気分を味わうことができました。
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2019年12月26日

「目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】」

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中野 剛志 著
ベストセラーズ 出版

 にわかには信じがたい理論が披露されていますが、素人判断ながら理論的に破綻しているようには見えませんでした。

 著者はまず『合成の誤謬』という概念を紹介しています。これは、ミクロ (個々の企業や個人) の視点では正しい行動も、その行動を集計したマクロ (経済全体) の世界では、反対の結果をもたらしてしまうようなことを指しています。

 デフレ下で支出を切り詰めて楽になろうとしたら、それがさらなる需要縮小を招き、デフレが続いて、生活がますます苦しくなるデフレも『合成の誤謬』のひとつだということです。

 言い換えれば、赤字の垂れ流しを止めるのは個々の家計では正しいのですが、財政赤字を削減しようとすることは負の結果を招くということです。でも、日本国債を発行し続けるような状況でいいのでしょうか。それに対し著者はこう語っています。
++++++++++
財政赤字の制約となるのは、民間部門の貯蓄ではない (財政赤字は、それと同額の民間貯蓄を創出するから)。
財政赤字の制約となるのは、政府の返済能力でもない (政府には、通貨発行権があるから)。
財政赤字の制約を決めるのは、インフレ率である。インフレになり過ぎたら、財政赤字を拡大してはいけない。
財政赤字を無限に拡大できない理由は、そんなことをすると、ハイパーインフレになってしまうからである。
++++++++++

 こう言われると、通貨とは何かがわからなくなります。著者は、信用貨幣論によれば、貨幣には現金貨幣と預金貨幣があり、後者の場合、預金が先にあって、貸出しが行なわれるのではなく、貸出しが先にあって、預金が生まれる、つまり、国債発行によって預金が増えて貨幣供給量が拡大し、それが需要の拡大を意味するというのです。

 しかし、肝心なことは、一般大衆のマインドではないでしょうか。そういう理屈を国民の多くが理解しなければ、この理論の正しさを試すことは叶わないような気がしました。
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2019年12月25日

「あたりまえなことばかり」

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池田 晶子 著
トランスビュー 出版

 哲学者が書いた本です。哲学と聞くと、自分には理解できないと構えてしまうのが常ですが、難しいことばが何ひとつ登場しないこの本は、肩の力を抜いて読むことができました。

 著者は、哲学とは『考えること』だと言っています。哲学者の本だとか学校の先生の言うことに頼るのではなく、手ぶらで零から『不思議』について考えるべきで、それが哲学だと主張しています。

 そしてその哲学の原点は、無知の知を自覚することだと言います。ソクラテスのことばを引用した説明によると『考えても何の得にもならない。しかしわからないことをわかろうとして考え始めて、如何にわからないかということをはっきりとわかることができる』そうです。これをソクラテスは、無知の知と呼びました。

 そして時には、わからない、理解できないと知ることが、それだけで十分な癒しになり得ると著者は考えています。たとえば人生です。その形式、生まれてから死ぬまで生きているという形式は、単純明快であるいっぽう、心であるところの人生、その複雑な動きをそれとして理解することは、複雑で難しいので、その事実を知るだけでも救いとなるかもしれないと著者は考えています。

 もうひとつ印象に残ったのは、心がどういったものかという考え方です。心とは、一般的にはわたしのなかにあるとされていますが、心のなかにわたしがあるという考えることもできるというのです。これはユングも行き着いた壮大な逆説だと著者は紹介しています。そう考えると、宇宙論的な奥深さのうちに心を認めることができ、心を理解できない事実を受け止めやすくなる気はします。

 考えもせずに、世の中なんにでも答えがあると思う自分より、考えて考えて、理解できないと知る自分でありたいと思いました。

 著者は、「なぜ生きるのか」という問いに「存在するから」と答えるそうです。「なぜ存在するのか」となお問われたら「さあ」と言うしかないと書いています。わたしもわたしなりの「さあ」に辿りつきたいと思います。
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