
ナカムラクニオ 著
産業編集センター 出版
まず最初に、やや難点だと思える点がひとつありました。写真ではなくイラストが使われている点です。その理由は、印象が古くなるのを防ぐためだと著者は説明しています。わたしの意見では、その場の雰囲気が伝わってくる反面、そのものの姿かたちを見たいときには向かないと思いました。たとえば、Flex Oneという折れ曲がる電子ペーパーのイラストが載っていたのですが、見てもよくわからず、結局ネット検索に頼りました。
ただ内容的には主要国以外も網羅されていて読み応えがありました。わたしには、いつか行ってみたい、見てみたいと思っている、本に関係する場所やモノがいくつかあります。この本には、それらすべてが登場し、そのほかにも行きたくなる場所が掲載されています。
まず、本を読む前から行ってみたい見てみたいと思っていたのは、(1) フランスにある短編小説の自動販売機、(2) 「
シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々」という本で知った、パリの『シェイクスピア・アンド・カンパニー (Shakespeare and Company)』、(3) ウェールズの本の町『ヘイ・オン・ワイ (Hay-on-Wye)』です。
著者は、(1) をパリのリヨン駅で見つけたそうです。(この自動販売機は、駅、空港、病院など 100 か所以上に設置済み。) 1 分、3 分、5 分の 3 種類のなかから選んだボタンを押すと、無料で提供されている物語がプリントアウトされます。わたしが気になった新情報は、アメリカで英語版も実験的に始まったことです。
新たに行きたい場所に加わったのは、3 か所。ひとつめは、本好きが泊まるべきホテルと著者が評する『バンコク・パブリッシング・レジデンス (Bangkokg Publishing Residence)』です。1960 年代から週刊誌の出版社兼印刷所として使われていて、活版印刷の活字が展示され、タイプライター、インク、紙のロールなどが飾られ、印刷博物館に泊まった気分を味わえるとか。
ふたつめは、ストックホルムで一番大きい『アカデミー書店 (Akademibokhandeln)』のストックホルム・メステル・サムエルスガータン (Stockholm Mäster Samuelsgatan) 店には、2017 年にオープンした『コーメルク・ブック・アンド・フードカフェ (K-Märkt Bok- & matcafé)』というカフェがあり、ノーベル賞晩餐会で出されたものと同じデザートを食べることができるそうです。ここのパティシエが晩餐会のデザートを担当していることから実現したメニューのようです。
最後は、カナダのトロントにある古本屋『モンキーズ・ポー』(The Monkey's Paw)。2 ドルを入れるとランダムに古本が出てくる『BIBLIOMAT』という古本自動販売機があるそうです。
これらすべての場所に行ってみることはなかなか難しそうです。