
赤川 次郎 著
新潮社 出版
子供のころに赤川次郎作品を頻繁に読んでいた時期があり、懐かしさから文庫になったばかりの本作品を読んでみました。
数十年の時を経ても、赤川次郎作品らしい安定感と雰囲気は変わらず、安心して読めました。表紙を開いてから閉じるまでの 3 時間ほどのあいだ、次々と人が死に、主人公の女の子が安全ながらも大変な状況に置かれているにもかかわらず、なぜか全体的に拍子抜けする程ふんわりのんびりした空気が漂い、ちょっと間の抜けたボーイフレンド未満が頑張り、ハッピーエンドを迎えるという赤川次郎作品の定番中の定番路線を楽しめました。
ただ、時代を感じさせられたところもありました。タイトルになっている 7 番街というのは団地の 7 号棟のことで、その団地は住む人もほとんどなく高齢者だけが残っているという限界集落のような設定になっていました。
今回の赤川次郎作品を読んであらためて思ったのは、時代の流れに合わせて変わる部分はあっても、ちょっとリラックスしたい時間に別世界を楽しむという読書の期待を裏切られたことはないということでした。そういう意味では、すごい作家なのだと思います。