2020年06月01日

「時空の神宝」

20200601「時空の神宝」.png

苗場 翔 著

 Amazon で購入できるプリント・オン・デマンド (POD) です。

 ファンタジーを読みなれていないということもありますが、わたしは、この物語に入りこめませんでした。登場人物の描写が説明的過ぎて、それぞれの表情や発言から個性を読みといたり先の行動を想像したりといった楽しみが感じられませんでした。すべてにおいてわかりやすさが求められる時代とはいえ、ストレート過ぎる人たちばかりが登場する小説は、味気なく感じます。

 そのいっぽうで、ストーリーはおもしろいと思いました。現代にいたはずの主人公が一瞬にして 0946 年に移動してしまい、その理由もわからないまま、その地で時空のかけら 12 片を集め『時空の宝玉』なるものを作りだそうとします。

 そうして時空のかけらを集めていくうち、スマートフォンに表示されている 0946 年というのは実は、10946 年だとわかります。946 年だと思って読んでいたときには違和感なく受け入れることができた風景が、実は未来だったという事実に驚かされます。

 人物や風景の描写が良ければ、ストーリーももっと活きたのではないでしょうか。
posted by 作楽 at 20:00| Comment(0) | 和書(日本の小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする