2020年09月02日

「医学統計の基礎のキソ 1」

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浅井 隆 著
アトムス 出版

 タイトルに「基礎のキソ」とあるとおり、統計の基礎が説明されていますが、その説明手順が、目からウロコでした。

 たとえば、有意差について説明するとき、帰無仮説 (null hypothesis) にもとづいて仮説検定を行ない、P 値をもとに帰無仮説を棄却するか、対立仮説を採択するかが決まるという流れで説明されることが多いように思います。しかし、本書では、いろいろある仮説検定をすべて素っ飛ばし、有意差と P 値の関係をいきなり説明しています。

 しかも、95% 信頼区間を求め、ゼロが含まれていれば有意差がなく、逆にゼロが含まれなければ有意差があるという関係を示し、仮説検定なしに有意差を推定できると説明しています。

 つまり、正しい統計結果を出せるようになるより、まずは統計結果を正しく理解できるようになることを目指しているわけです。

 統計には挫折してばかりという方には、星五つ級にお勧めの書籍です。次のような内容がカバーされています。

−有意差 (significant difference)、P 値 (P values)、有意水準 (significant level)
−帰無仮説 (null hypothesis)、仮説検定 (hypothesis test)
−信頼区間 (confidence interval)
−平均値 (mean) = 算術平均値 (arithmetic mean) / 中央値 (median)
−標準偏差 (standard deviation、SD、S、σ)
−四分位範囲 (inter-quartile range)
−平均の信頼区間 (confidence intervals of the mean)
−3 の法則 (rule of 3)
posted by 作楽 at 21:00| Comment(0) | 和書(データ活用) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする