
小早川 鳳明 著
PHP 研究所 出版
数字をビジュアル化することは、ビジネスパーソンが日常的に行なっていることだと思いますが、ありがちなのが、ビジュアル化自体に満足してしまい、目的に沿わせることを忘れてしまうことです。
この本には、わたし自身が実践していることが正しいと確認できたことと、これまで実践してこなかったけれど今後取り入れたいことがありました。
前者は、オーディエンスの設定と漏れの防止です。ビジュアル化に限らず、何かを見せるとき、わたしはオーディエンスを広げ過ぎず、決定権をもった方々に限定することを心がけています。著者は『説得する相手の顔をふたりだけ思い浮かべる』ことを勧めています。たとえば、会長と社長、社長と副社長といった、ふたりです。
漏れの防止について著者は、人を動かすためには、抜け穴のない論理的な説明が必要だとし、抜けも漏れもないロジックツリーの作成を勧めています。ロジックツリーは、具体的には次のようなものです。

後者のわたしが実践できていなかったことは、データのマスキングと相手がよく知っている数字の前段利用です。
わたしは、データをすべて見せるようにしていましたが、著者は、自分の主張に直接関係しない数字は、敢えて見せない (マスキングする) ことを勧めています。たしかに、アウトプットがすっきりとし、どこを見てもらいたいのかが明確になります。
また、相手を動かすために信頼を得る手段として、自分が主張したい数字の前段に、相手がよく知っている数字をもってくることは有効だと思えました。
相手を説得するという目的を果たすために数字をどう使うかという視点では、参考になるメソッドが紹介されていると思います。