2020年11月16日

「白内障かなと思ったら読む本」

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川原 周平 著
幻冬舎 出版

 眼にステロイドを使っていると白内障が進むという話を聞き、ステロイドを大量に使っている不安から、この本を手にしました。

 驚いたのは、眼科の手術でもコンピューターが導入されていることです。手術は、患者の眼を拡大して映し出す顕微鏡をのぞきながら行われます。著者が最新鋭の手術支援システムだと紹介する『カリスト・アイ』は、そこに術前の検査データやシミュレーション画像も映し出すそうです。

 これにより医師は、カリスト・アイが示す切開の位置などを画面で見ながら手術を進めることができ、安全かつ質の高い手術を実現することができるようになったそうです。ただ、高精度な機械を操作する医師にも相応の知識と技術が求められるため、誰でも容易く手術できるようになったわけではなさそうです。

 一番参考になったのは、白内障の手術をする病院を選ぶ際のチェックポイントです。

1. 硝子体手術ができる
2. 眼内レンズの選択肢が多い
3. 検査や手術に使う機器が新しい
4. 視能訓練士がいる
5. 『今すぐ手術を』と強要してこない
6. 乱視も矯正できる
7. 手術件数を過信しない

 5.だけは、素人でもわかりますが、そのほかの項目も将来参考にさせていただきたいと思います。
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2020年11月15日

「小説 滑走路」

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萩原 慎一郎 原著
藤石 波矢 著
KADOKAWA 出版

 タイトルに「小説」とあるのは、「滑走路」という萩原慎一郎の歌集をもとに映画化された「滑走路」のノベライズという意味です。歌集にあまり馴染みがないので、読み慣れた小説の形式のほうがいいかと思い、手に取りました。

 萩原慎一郎という歌人のことを知りませんでしたが、短歌の世界では、32 歳で命を絶った若き歌人として有名だそうです。自死の原因は、精神の不調とされており、原因は長年受けてきたいじめの後遺症と考えられているようです。

「小説 滑走路」では、いじめ、非正規雇用やそれに付随する格差、恋愛などがテーマとしてあげられ、どれもこの歌人に関わりの深いテーマです。

 世の中には理不尽なことが溢れています。いじめは、その最たるものかもしれません。そういったことにどう対処するかに正解はないと、わたしは思います。

 ただ、世の中は、力を合わせて理不尽に立ち向かうのではなく、少なくとも自分だけは理不尽な目に遭わないようにうまく立ち回るのが賢明という認識で一致しつつあるのではないかと思えました。そして、理不尽な目に遭った人たちに対しては『自己責任』ということばを投げつけているように見えます。

 でもこの歌人は、世の流れに逆らい、創作を通じてそういった理不尽な目に遭った人たちに寄り添っていたのかもしれません。「歌集 滑走路」も手にしたくなりました。
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