
昭文社企画編集室 編
デイビッド・セイン (David Thayne) 監修
昭文社 出版
各州が見開き 2 ページに掲載されています。大まかな地図に、その地域の知らなくてもいいけど知っていると楽しいトリビアがイラストとともに記されているいっぽう、地図の欄外には教科書的な色合いの州全体に関する説明があります。
地図のおかげで、これまで見逃してきたことが目に留まりました。カナダとの境にあり、アメリカの冷蔵庫と呼ばれるミネソタ州に飛び地があることを初めて知りました。ジョン・ミッチェル地図 (1755 年作成) に基づいてアメリカとカナダの国境線を引いたものの、のちの調査で地図の間違いが発覚。しかし間違った地図に基づいた国境線を引き継いだため、妙な形の飛び地『ノースウェスト・アングル』ができたそうです。
トリビアでわたしが気に入ったのは、アーカンソー州にあるダイヤモンド・クレーター州立公園です。世界唯一の公共ダイヤ採掘場で、入場料とシャベルレンタル代だけで採れたダイヤを持ち帰ることができるそうです。2015 年に 8.52 カラットの逸品が掘り当てられたと書かれてありますが、調べてみたところ、2020 年には 9.07 カラットのダイヤを持ち帰った方もいるようです。そのサイズに驚かされました。
比較がしやすいよう、人口、面積、世帯収入、州都、主要都市、主要産業、州の花、州の愛称、選挙人の数などの基本情報が州ごとにまとめられています。これまで州の愛称を目にしても気にかけたことはなかったのですが、今回、アーカンソー州が 1995 年に『機会の州』から『自然の州』に愛称を変更したことを知り、愛称が何かの意図をもって (アーカンソー州の場合、観光産業を盛り上げることが狙い) 公式に変更される類のものだと初めて理解できました。
また、1 月 6 日の議事堂襲撃事件につき、当時大統領だったトランプ氏が煽動したようにしか見えなかったことと票集めにトランプ氏を頼りにしている共和党がその煽動を咎めなかったように見えたことから、以前よりもずっと各州が民主党寄りか共和党寄りかが気になるようになりました。各州の選挙人の数だけでなく、どちらの政党に傾いているのか、ひと目でわかるようになっていた点は良かったと思います。