早坂 隆 著
中央公論新社 出版
著者は、『日本人ジョークは日本に対するイメージの発露であり、日本人独特の普遍性を含む結晶なようなもの』と、まえがきで語っています。的を射た意見だと思います。
自分を含む日本人がどう見られているかに注意を払ってジョークを読み進めたなかで、わたしたちも、そろそろ変わるべきだと思ったのは、集団行動に関するものでした。
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ある豪華客船が航海の最中に沈みだした。船長は乗客たちに速やかに船から脱出して海に飛び込むように、指示しなければならなかった。
船長は、それぞれの外国人乗客にこう言った。
アメリカ人には「飛び込めばあなたは英雄ですよ」
イギリス人には「飛び込めばあなたは紳士です」
ドイツ人には「飛び込むのがこの船の規則となっています」
イタリア人には「飛び込むと女性にもてますよ」
フランス人には「飛び込まないでください」
日本人には「みんな飛び込んでますよ」
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ダイバーシティやインクルージョンを目指すなら、もうひとつ変わる必要があると思ったのは、議論をしていく姿勢だと思います。
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国際会議において有能な議長とはどういう者か。
それはインド人を黙らせ、日本人を喋らせる者である。
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働きすぎを揶揄される次のようなジョークも身に沁みました。
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イソップ寓話のアリとキリギリス。世界の国々ではこんな話になるだろう。
アメリカの場合。
ヴァイオリンばかり弾いていたキリギリスだが、その腕前がテレビプロデューサーの目に止まり、一躍スターに。キリギリスは大金持ちとなった。
旧ソ連の場合。
アリは玄関先で倒れていたキリギリスを助け、食べ物を分け合う。しかし、結局は食糧が足りなくなり、アリもキリギリスも死んでしまう。
日本の場合。
アリもキリギリスもカロウシする。
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わたしが一番気に入っているというか、揶揄されても一向に暗い気持ちにならなかったのは、ベストセラーに関するジョークです。
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それぞれの国で最も読まれている書物とは?
アメリカ……新約聖書
イスラエル……旧約聖書
イスラム諸国……コーラン
日本……マンガ
中国……毛沢東語録
<結論>世界で読まれているのはファンタジーばかりである。
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