2021年12月01日

「新 IFRSのしくみ」

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あずさ監査法人 IFRS アドバイザリー室 編
中央経済社 出版

 2005 年、EU 各国の上場企業の連結財務諸表に IFRS(International Financial Reporting Standards:国際財務報告基準) が強制適用されるようになったときは、関心をもてなかったのですが、2013 年 10 月に IFRS の任意適用要件が大幅に緩和されたこともあり、IFRS を適用する日本の上場企業が増えてきて、基礎くらいは知っておかなければならなくなりました。

 この本は、基礎の基礎を学ぶのに適していると思います。たとえば、IFRS 導入のメリット・デメリットが簡潔にまとめられています。メリットとしては、(1)経営管理体制の強化、(2)同業他社との比較可能性の向上、があげられています。(1)は、企業グループ内の会計方針を統一することが求められる IFRS を導入することにより、各グループ会社の状況をタイムリーに把握することにより実現します。(2)については、投資家への説明責任を果たし、資金調達の市場や方法を戦略的に選ぶことが可能になります (他社との比較において相応の評価を得なければ、現実的にはメリットを享受できない気はしますが)。 デメリットとしては、(a)IFRS 適用準備のための時間と費用、(b)適用後も日本基準に基づき作成される単体財務諸表と二重の管理体制が必要、(c)IFRS の要請に対応できる人材の確保、があげられています。

 ほかにも、財務諸表の構成が IFRS と日本基準で比較され、一覧になっていて、基本がおさえられるようになっています。

IFRS日本基準
財政状態計算書 (Statement of financial position)貸借対照表
純損益及びその他の包括利益計算書* (Statement of profit or loss and other comprehensive income)損益及び包括利益計算書*
株主持分変動計算書 (Statement of changes in equity)株主資本等変動計算書
キャッシュ・フロー計算書 (Statement of cash flows)キャッシュ・フロー計算書
注記 (Notes)注記
*IFRS、日本基準ともに、包括利益計算書とすることも認められている。また、純損益計算書と包括利益計算書の 2 つに分離することも認められる。

 見開きでひとつのトピックが完結になっていて、多くは、前述の比較可能性が向上するというメリットに納得できる内容でした。

 たとえば、オペレーティングリース (ファイナンスリースと異なりノンフルペイアウト) の場合、借手側のリース資産は、オフバランス (バランスシートへの計上なし) でしたが、新しいリース会計モデル (2016 年 1 月に公表された IFRS 第 16 号「リース」) ではオンバランスになります(『使用権資産』と『リース負債』)。(これは、表紙にも掲載されています。)

 また、収益に関しても、どういった収益をいくらで、いつ、どのように計上するかの認識基準が明示されていて、容易に収益を比較できるようになっています。

 さらに、金融商品の場合、その信用リスク、市場リスク、為替リスクなど、さまざまなリスクについて、定性的情報および定量的情報の開示が必要になったり、分類ごとに、帳簿価額、公正価値および発生した損益を開示する必要があります。

 リスクテックに関係する仕事をしているので、リスクの情報開示については、詳しく学ぶ機会をつくりたいと思いました。
posted by 作楽 at 21:00| Comment(0) | 和書(経済・金融・会計) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする