2022年04月05日

「マンガでよくわかる 新型コロナの 読むワクチン」

20220405「新型コロナの 読むワクチン」.png

西村 秀一 著
石川 森彦 イラスト
幻冬舎 出版

 COVID-19 の大流行以降、あらゆる場所で手指の消毒を求められるようになり、アトピー性皮膚炎を抱える身としては、かなり辛い日々を過ごしています。必要なことと耐えてきたのが本音ですが、この本を読んで落胆することになりました。手指の消毒は、COVID-19 の感染予防にあまり寄与しないというのが著者の説明です。

 COVID-19 は、汚染されたものに触り、粘膜についたり口に入ったりして感染する『接触感染』や短時間で落下するような大きな飛沫での『飛沫感染』ではなく、『空気感染』だというのです。つまり、換気の悪い部屋では、空中に漂うウイルスによって、多くの人が短時間で感染してしまうため、手指を消毒することより、充分に換気をしながら誰もが正しくマスクを着用することを優先させるべきだというのです。

 これだけ科学が発達した現代において、科学的根拠に基づかない対策が推奨されている理由として、著者は次のように述べています。
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 昔は、解明されていない感染症は空気が悪いからだとして、なんと呪術で払うというようなことが真剣に行なわれていました。しかし科学者達の努力で、マラリアは蚊が媒介した感染、コレラは汚染された飲料水からの感染など、さまざまな感染症の感染ルートが次々に解明されていきました。
 そして空気感染という考え方は迷信的な考え方だとして軽視されるようになり、空気感染という概念を容認しない大家が書いた教科書がそのままバイブルのようになり、延々と今日まで続いているのです。
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 ただ、この本では、効果が期待されるものや無駄なものも含め、COVID-19 に対する対策がいろいろ検討されているものの、そもそも空気感染だと断定したプロセスには触れられていません。『接触感染』や『飛沫感染』では説明がつかないという、わたしのような素人にはピンとこない指摘があるのみです。その点が残念でした。
posted by 作楽 at 21:00| Comment(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする