
「心地よい暮らし」プロジェクト 編
KADOKAWA 出版
昔、無印良品のシンプルなデザインが好きで頻繁に店舗を訪れていた時期がありました。ある日、フライパンを購入し、空の状態で (IH ではなく) ガスコンロに載せたところ、柄のほうが重いのか五徳の上で傾きました。食材を入れて、一定の重量がかかると安定するとはいえ、やはり危なっかしく見えたので、それ以来、無印良品ファンではなくなりました。
この本のタイトルを見て、あのフライパンは、たまたまハズレだったのかもしれないと思いました。実際に読んで思ったのは、やはりモノを作るうえで、失敗は免れないということです。『上質紙 スリムノート・横罫縦ドット』の商品紹介で開発者が次のように語っています。
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昔、企画したノートが、すぐに他社のものに切り替えたという上司の娘さんに酷評されました。指摘がいちいちもっともで自分に腹が立ち、絶対に負けないものをつくろうと奮起しました。
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消費者にとっての当たり前は、必ずしも開発者にとっての当たり前ではないとわかるエピソードだと思います。ほかにも、アミノ酸系の添加物を使わないよう仕様を変更し、『素材を生かしたスナック』として売り出した、ごぼうスナックがヒットしたそうです。生地に練り込むごぼうの量を増やしたこのスナックは、読むだけで食べたくなってしまう食品だと、わたしは思いますが、発売前に工場の方は、売れないと言っていたそうです。アミノ酸系の添加物を使うのが常識だからとか。わたしには、自分の常識は他人の非常識の典型例のように見えます。
こういうエピソードを読んでいると、またお店に足を運んで、自分に合う商品を選んでみようかという気になりました。まずは、ごぼうのスナック、塩糀、醤油糀、2 層仕立てのチーズケーキなどの食品を試してみたいと思います。