2024年08月01日

「Not a Penny More, Not a Penny Less」

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Jeffrey Archer 著
Pocket Books 出版

 読みたいと思う本が次から次へとあらわれるため、気に入った本でも再読することは、滅多にありません。でも、この本は、初めて完読した英語の本なので、また読んでみました。

 学生だった当時も今回も、詐欺被害者たちが詐欺師を 3 回も騙し、首尾よく大金を取り戻す姿に喝采を送りたくなったことも、結末に驚いていいのか溜息をついていいのか戸惑ったことも変わりはないのですが、変わったこともありました。

 実業家であり詐欺師でもある、Harvey Metcalfe が株式を使って仕掛けた詐欺のスキームを当時はあまり理解できなかったのですが、いまなら如何にシンプルな詐欺だったかよく理解できます。社会に出て、株式市場などの基礎知識が身についたせいでしょう。

 Harvey に大金を騙しとられ、それを取り返そうとする 4 人組、Stephen Bradley、Robin Oakley、Jean-Pierre Lamanns、David Kesler に対し、初読時は Harvey を緻密に調べあげ、チームを率いた Stephen に憧れつつ、David がチームのお荷物にならないかハラハラしましたが、今回は意外にも David に憧れを感じました。気力も体力も充実していたころなら、わたしも Stephen のようになれたかもしれないと思ういっぽう、David には絶対なれないと知ったからかもしれません。

 長い時を経て同じ本を読むと、何かを得られることもあるようです。今回の再読では、自らの変化を知ることができました。また、長い時が過ぎると、社会が大きく変わって、小説のちょっとしたモノやコトに違和感を感じることも多々あるいっぽう、ひとを欺いていても、自分は騙されないと信じる人間の愚かさのようなものは変わらず、すんなり受けいれられるのだと感じました。
posted by 作楽 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする