2024年09月03日

「ほめ言葉の法則―心理カウンセラーが教える 101 のテクニック」

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植西 聰 著
アスペクト 出版

 わたしは、頼みごとなどの下心が見え隠れする褒めことばを言われても、素直に喜べません。そのため、下心がなくとも、下心があるような印象を相手に与えてしまうことを恐れて緊張するせいか、なかなかうまくひとを褒められません。

 著者は、そういったときは、『より具体的に』褒めるよう勧めています。『文章が上手だね』ではなく、『テニヲハがしっかりしているし、文章全体のリズムがいいね』、あるいは『起承転結がしっかりしているね』といった具合です。これは、簡単に実践できそうな助言です。

 また、褒められて当然のことは避けるべきだそうです。たとえば、東大生に対し、頭がいいとか、勉強ができるなどと褒めても、相手にとっては言われ慣れた褒めことばで、コミュニケーションを円滑にする役割は望めません。『東大生が歌やスポーツにある程度自信を持っていたら、「歌がうまいですね」「運動神経がいいんですね」』などと褒めることを勧めています。

 著者は、『私は長年、人生相談を受けてきましたが、相談内容で最も多いのが、人間関係に関することでした』と書いています。わたしも、ひととのかかわりのなかで、どうすればいいのか、どうしたいのか、わからなくなることが多々あります。円滑なコミュニケーションには、褒めことばも重要な役割を果たすので、あまり身構えずに口に出せるようになりたいものです。
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2024年09月02日

「The Missing Piece」

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Shel Silverstein 著/絵
Harper & Row 出版

 以前、日本語で読んだことのある絵本です。誰にでも描けそうな、シンプルな丸い顔から、意外にもしっかりと表情が読みとれたことが印象に残っていて、古本屋で英語版を見つけたとき、衝動買いしてしまいました。文章から受ける印象をもとに顔の表情を解釈しているのか、顔がそれぞれ巧みに描きわけられているのか、自分でもわからず、なんども見返してしまった記憶があります。

 ただ、英語で読むと、日本語で読んだときとは印象が違う気がしました。日本語と比べてみたところ、この丸い存在との距離感に差があるように思えました。

 英語では、丸い存在が The Missing Piece を探しに行く場面は次のようになっています。
And as it rolled
it sang this song--
    "Oh I'm lookin' for my missin' piece
     I'm lookin' for my missin' piece
     Hi-dee-ho, here I go,
     Lookin' for my missin' piece"

 いっぽう、日本語は次のようになっていて、丸い存在のセリフ以外の部分も『ぼく』が語っているようになっています。
ころがりながら
ぼくは歌う
  「ぼくはかけらを探してる
   足りないかけらを探してる
   ラッタッタ さあ行くぞ
   足りないかけらを探しにね」

 英語で it sang this song とあるのと、日本語で『ぼくは歌う』とあるのでは、なんとなく受ける印象が違う気がします。it とあると、自分が第三者として it を見ている気がするのです。英語と日本語の主語の違いは、ほんとうに奥が深いというか、難しいです。

 だからといって、it を『それが』とすると、この丸い存在が妙によそよそしく感じられますし、違う言語である以上、同じにならないのが当たり前とわかっていても、この違いは興味深いと思いました。
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2024年09月01日

「ビーチコーミング小事典: 拾って楽しむ海の漂着物」

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林 重雄 著
文一総合出版 出版

 ビーチコーミングに興味をもったきっかけは、ガイドと一緒にヒスイ探しができるという、富山県の『ヒスイ海岸』の観光情報でした。

 さらに、この本を読み始めて、竜涎香 (りゅうぜんこう) が沖縄で見つかったというニュースを読みました。見つかった竜涎香は、たった 268 グラムで 442 万円もの値がついたそうですが、その生成過程を知り、さらに驚きました。『マッコウクジラはイカが好物で、オスの腸の中にまれにイカのくちばしを大量に含んだ黒褐色の塊ができ、いい香りが長続きする香水を作る原料の竜涎香になる。マッコウクジラを漢字で「抹香鯨」と表記するのは、この竜涎香に由来するとされる』と書かれてありました。ただ、極めて珍しいもののようで、著者は、約 20 年のビーチコーミング歴でも、竜涎香に巡りあったことはないそうです。

 海辺で、ヒスイなどの石や香水の原料を見つけられるなんて、思いもしませんでした。本書によれば、ビーチコーミングは、『浜辺』の beach と『櫛 (くし) けずる』の combing を合わせたもので、『浜辺を櫛けずるようにていねいに見ていく』というところから名づけられたそうです。

 著者は、ていねいに見ていくだけでなく、収集したり、分類したり、飾ったり、ビーチコーミングの魅力を伝えたりされているようです。数々の貝殻、特にベニガイ、ヒラザクラといったピンク色をした二枚貝やルリガイやアサガオガイといった薄紫色をした巻貝の写真を見ると、わたしもビーチコーミングを始めてみたいという気持ちが起こりましたが、この本を読み進めていくうち、いわゆる海ごみが浜辺に大量に打ち寄せられることを知り、ビーチコーミングよりビーチクリーンを先に始めるべきかもしれないとも思いました。

 フルカラーの本書は、ビーチコーミングにしろ、ビーチクリーンにしろ、浜辺を歩く際の良き友になりそうです。
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