2024年09月01日

「ビーチコーミング小事典: 拾って楽しむ海の漂着物」

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林 重雄 著
文一総合出版 出版

 ビーチコーミングに興味をもったきっかけは、ガイドと一緒にヒスイ探しができるという、富山県の『ヒスイ海岸』の観光情報でした。

 さらに、この本を読み始めて、竜涎香 (りゅうぜんこう) が沖縄で見つかったというニュースを読みました。見つかった竜涎香は、たった 268 グラムで 442 万円もの値がついたそうですが、その生成過程を知り、さらに驚きました。『マッコウクジラはイカが好物で、オスの腸の中にまれにイカのくちばしを大量に含んだ黒褐色の塊ができ、いい香りが長続きする香水を作る原料の竜涎香になる。マッコウクジラを漢字で「抹香鯨」と表記するのは、この竜涎香に由来するとされる』と書かれてありました。ただ、極めて珍しいもののようで、著者は、約 20 年のビーチコーミング歴でも、竜涎香に巡りあったことはないそうです。

 海辺で、ヒスイなどの石や香水の原料を見つけられるなんて、思いもしませんでした。本書によれば、ビーチコーミングは、『浜辺』の beach と『櫛 (くし) けずる』の combing を合わせたもので、『浜辺を櫛けずるようにていねいに見ていく』というところから名づけられたそうです。

 著者は、ていねいに見ていくだけでなく、収集したり、分類したり、飾ったり、ビーチコーミングの魅力を伝えたりされているようです。数々の貝殻、特にベニガイ、ヒラザクラといったピンク色をした二枚貝やルリガイやアサガオガイといった薄紫色をした巻貝の写真を見ると、わたしもビーチコーミングを始めてみたいという気持ちが起こりましたが、この本を読み進めていくうち、いわゆる海ごみが浜辺に大量に打ち寄せられることを知り、ビーチコーミングよりビーチクリーンを先に始めるべきかもしれないとも思いました。

 フルカラーの本書は、ビーチコーミングにしろ、ビーチクリーンにしろ、浜辺を歩く際の良き友になりそうです。
posted by 作楽 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする