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柴崎 友香 著
河出書房新社 出版
著者は、1973年、大阪府生まれ。この小説の会話は関西弁で成り立っています。関西弁が自然なのは当然なのですが、関西の空気というか会話の展開の常道をおさえている点、やはり生まれや育ちというのは作品の一部なのだと納得してしまいました。
しかし、読んでいて疲れました。たぶん、文章がうまくて、リアルに情景が迫ってくるから、登場人物ふたりに振り回されている疲れがどっと押し寄せてくるのではないかと思います。
タイトルにあるツアーとは、音生と芽衣のトルコ・四国・石垣島と続く旅行です。音生と芽衣は親しい友だちというわけではありませんでした。音生が高校生のとき、千秋良夫という男性と付き合っていて、その良夫と芽衣が同級生でした。音生はとびきり美人でスタイルがよく、良夫は自慢げに音生を友だちに紹介していました。
芽衣が大学を出て勤めた会社を3年で辞め、しばらくゆっくりしようと考えていたタイミングで音生に再会します。綺麗なものを眺めているのが好きな芽衣は、スタイル抜群の美人、音生に引きずられるかたちで、気まぐれ感傷旅行に同行します。
なにも事件が起こるわけではありません。ふたりの女性のちょっと日常からは離れた旅行が描かれているだけです。でも、その場に居合わせたような雰囲気を味わえる不思議な文章です。リアルということばを超えている気がしてくるほどです。
でも、芽衣のように綺麗なものに執着のないわたしは、音生にも芽衣にも疲れ果ててしまいました。単に世代ギャップによる疲れかもしれませんが。
映画を見ているより細部まで見えた気分のする不思議な語りでしたが、とにかく疲れました。
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