Rosemary Martin 著
谷 泰子 訳
東京創元社 出版
ミステリとしては、ツッコミどころ満載なのですが、主人公のベベ・ベネットがよかったです。純粋に若いっていいなあ、と思わせてくれます。おとなというか、わたしのおばさん視点から見てバランスがいい主人公だと思います。レコード会社で秘書をするベベ・ベネットの憧れの的は直接の上司。ウキウキとおしゃれして出勤しつつも、仕事はきちんとこなし、そつなく気配りできているあたり、バランスがよくて楽しめます。(これが、仕事そっちのけで上司に熱をあげているだけでは、若い主人公についていけないと思ってしまうのでしょうが。)
ミステリとしてのツッコミどころは、第一発見者のベベと友人のダーリーンが、警察の現場検証のあとに警察が見逃した証拠を見つけてしまったりとか、その動機なら殺す相手を間違えていると言いたくなるところとか、アリバイ工作が稚拙なところとか、いろいろあります。
ただ、この事件の舞台は1964年なので、現代のことをあてはめられないのかと思うことも多々あったり、その時代のファッションとかトレンドや事件の起こるニューヨークの街を楽しむほうが勝ってしまいます。そのあたりは、コージーミステリの王道を行っています。
1964年が舞台なので古い作品かと思ったら、どうも著者は歴史作家のようで、その当時のことを調べたうえで作品にしたそうです。三部作の第一作ということですから、たぶん第二作も読んでしまうでしょう。職場が戦場だった身としては、また楽しませていただきます。

