2010年04月01日

「Out of the Wild」

20100401[OutOfTheWild].jpg

Sarah Beth Durst 著
Razorbill 出版

 前作「Into the Wild」では、ジュリーがワイルドのなかに入り込んで冒険が繰り広げられましたが、今回はワイルドからラプンツェルの王子が飛び出してきて、現代のニューヨークやグランド・キャニオンでおとぎ話を再現するかのように王子が冒険するのをジュリーが追うという展開です。

 ジュリーは、ラプンツェルと王子のあいだの子供で、ラプンツェルは王子を残してワイルドから逃げ出し、こちらの世界でジュリーを産んだという設定なので、今回の冒険は、親子の再会や離れ離れだった親子が身近に存在する違和感のようなものも、冒険に添う軸のようになっています。

 しかし、王子は父親でありながら、現代では何も知らない赤ん坊と大差ありません。車や高層ビルを見たこともなければ、空飛ぶほうきでニューヨークの摩天楼を駆け抜ける姿をテレビ中継されても、それがどういうことを意味するのか、まったくわからないわけですから。そんな場面をくすっと笑ったり、ジュリーにちょっと同情したりしているうちに、今回も次々とおとぎ話が繰り広げられていきます。読んでいて、あまり馴染みがなかったのは、ルンペルシュティルツヒェン。グリム童話に登場する金を紡ぐこびとのようです。ほかにも読んだことのあるおとぎ話でも、そんなバージョンもあるの? という驚きがあったりするのは、前作と同じです。

 ただ、今回は舞台が現代の日常なので、前作のほうが純粋に冒険を楽しめた気がします。(おとぎ話の王子さまに現代男性のように振舞わせる不条理さが、前半では冒険の雰囲気の足かせになっています。後半では、ジュリーもワイルドから世界を救うことだけに没頭した冒険になっていますが。)

 このシリーズはこれだけで終わりかなと思う、おとぎ話風なハッピーエンドでした。
posted by 作楽 at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Young Adult) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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