2010年06月01日

「超訳 古事記」

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鎌田 東二 著
ミシマ社 出版

 素晴らしい本です。こういう本をもっと世に出して欲しいと思いました。

 日本人として、古事記を読むべきだとは思っても、なかなか読めませんでした。たとえ、読み下し文であっても、わたしには硬すぎる文章で、内容に集中できなかったのです。でも、この本は流麗な文章で、とても読みやすく、想像力が刺激され、イメージが膨らみます。

 この本を読んでいると、日本とはどういう国か、自然とわかる気がしてきます。神々が次々とあらわれる場面では、「八百万の神々」ということばが浮かび、わたしたちが自然のあらゆることに対し信仰をもってきたことが当然のように思われます。

 島が次々とつくられる場面では、隠岐や淡路などの名前がひとつひとつあげられ、日本が島国であるということが、国の個性になっていると強く感じます。

 また、わが国初の三十一文字が歌われた場面では、歌が日本独特の文学であるだけでなく、何よりも長い歴史を有し、人々の暮らしに入り込んでいたさまがありありと浮かんできます。

 この本は著者の鎌田氏が、いままでに蓄積したみずからの内にある古事記を、何も参照せずに自由に語り、それを出版社の三島氏がテープに起こし、加筆・訂正したあと、本になったそうです。(だから、タイトルに超訳とあるそうです。)

 しかし、もとの古事記も似たような成り立ちだそうです。稗田阿礼(ひえだのあれ)が「詠習(よみならい)」した言葉を語り、太安万侶(おおのやすまろ)が漢字ばかりの文字に起こして書き著した文書が「古事記」だと序文に書かれてあるそうです。口承伝承を書物にするのにふさわしい手順を、この本でも活用したのでしょう。おもしろい試みが素敵な結果を生んでくれたおかげで、楽しめました。
posted by 作楽 at 00:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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