2010年12月17日

「気になる部分」

20101217「気になる部分」.jpg

岸本 佐知子 著
白水社 出版

 著者は、翻訳家でもあるのですが、エッセイストとしてお名前を聞くことのほうが多い気がします。読んでみて、納得しました。妄想めいているというか、独創的というか、個性的です。

 タイトルに「気になる部分」とありますが、わたしから見れば「そんなところが気になりますか!?」と訊きたくなるような独自の視点をお持ちのようです。それなのに、その通りだと共感できる部分がときとして見つかると、嬉しいような迷惑なような形容しがたい中途半端な気分になってしまいました。

 たとえば、小学生のときに"容姿について"という作文を書かされ、「容姿はできるだけいいほうがいい。不細工な人はそれだけで不幸だ。自分ももっと可愛く生まれたかった」と書いたとありました。そのとき級友はみな容姿の良し悪しより性格が大事と書いたと知り、「ふだんは他人の容姿をさんざんいじめのネタにしているくせに、平然とそんな建前を書ける級友たちの変わり身の早さが、まぶしかった」と述懐しています。わたしもそういう建前を言えるようになるには、永い永い年月を要したので、著者が感じたまぶしさに共感したいのですが、でもそれを躊躇ってしまうほどこの著者の夢想ぶりは堂に入っています。

 ただの読者として著者の夢想を覗くぶんはとても楽しかったです。
posted by 作楽 at 00:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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