2011年07月25日

「一冊でわかる名画と聖書―107の名画とともに聖書のストーリーを解説」

20110725「一冊でわかる名画と聖書」.jpg

船本 弘毅 監修
成美堂出版 出版

 これに類する本では「聖書入門」や「すぐわかる キリスト教絵画の見かた」を読んだことがあるのですが、それらに比べると、とてもわかりやすい内容でした。

 ひとつひとつの逸話がわたしのなかでこれほど関連づいたことはありませんでした。たとえば、「イエスはダビデから数えて28代目にあたるとされている」と書かれてあるのですが、それによって、どれくらいの期間にわたってイエスのルーツが語られているのか、具体的なイメージで理解できます。それと同時にあの有名な『エッサイの木』がどれほど簡略化されているのかも、感覚的にわかります。

 これ一冊で、聖書の内容を追うこともでき、宗教画を見るときのポイントもわかるようになっているので、聖書のことをまったく知らないけれど、宗教画を鑑賞してみたい方には、お勧めしたい内容です。入門レベルでは優れた本だと思います。

 理由としては、時代背景が初心者向けに説明されている点が挙げられます。たとえば、その当時、女性はどう見られていたのか、ユダヤ教徒はどういう宗派がどういう価値観で布教していたのか、職業の貴賤概念はどのようなものであったかなどです。

 宗教画を観るうえで興味深いと思ったのは、聖書に記述がないのに敢えて描き入れられている人物や事象の解説です。また、随所でアトリビュートに触れられていたので人物を特定する際に参考になりましたし、画家のエピソードも盛り込まれていて、広く浅く絵画を知ることができ、愉しめました。
posted by 作楽 at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(宗教・神話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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