
伊坂 幸太郎 著
実業之日本社 出版
いままで読んだ伊坂作品はどれもレベルが高かったので、そのぶん高い期待を抱いて読んだのですが、少しもの足りませんでした。
ほかの作品同様、緻密に伏線が張られてあって、そう繋がってくるのかという小さな驚きや納得はありました。でも、ほかの作品でよく感じる観察の鋭さの代わりに、登場人物それぞれの生まれもった個性(たとえば際立って美しい容姿とか、特殊な能力とか、かなり裕福な生まれとか)に頼って人物が描かれている気がして、人の根幹には触れていないようなもの足りなさを感じました。
ただ、主人公が大学生なので、葛藤やら何やら面倒なことを抱え込む年代ではないのかなとも思いましたが、それならそれで、その年頃ならではの恋愛のもろもろをきちんと描いて欲しかったという点で、やっぱりもの足りないものがあります。
糞野郎