2006年08月02日

「優雅な暮らしにおカネは要らない―貴族式シンプルライフのすすめ」

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アレクサンダー・フォン シェーンブルク 著
畔上 司 訳
集英社インターナショナル 出版

 社会人になって最初の8年位、「自分へのご褒美」というものを欠かせませんでした。1週間程度の休暇を取って海外に出掛けたり、分不相応なブランドのバッグを買ったり、別に良さがわかっているわけでもないのに評判の高級レストランで食事をしたりしていました。

 「自分へのご褒美」をしたくなる理由は色々あります。まず、イヤな仕事を続けていく理由が必要でした。旅行に行ったり、ブランド品を持ったりできるのも、このイヤな仕事をしているから。だから、この仕事を我慢して続けなければいけないと思っていました。それよりも大きな理由は、他の人がそうしているから私もそうしたい、と思っていたことだと思います。

 それが、あるとき、その私の価値観がガラガラと音を立てて崩れていき、時間とお金の使い方が大きく変わってしまったのです。きっかけは、仕事を辞めたことでした。辞めれば、収入が途絶え、海外旅行もブランド品も高級レストランも手の届かないところに行ってしまいました。でも、私の価値観を変えたのは、そういう生活にはそういう生活の楽しみがあったからです。

 自ら辞めたわけではなく、リストラにより解雇され、一時の失業生活により得た教訓を没落貴族と自ら言う著者が書いたのが、この「優雅な暮らしにおカネは要らない」。

 著者は貴族称号を持ち、現在はフリーランスジャーナリストとして数々の新聞雑誌に寄稿するだけでなく、編集にも携わり、この本以外にもベストセラーを持つノンフィクションライターなのです。つまり、現在は失業状態にあるわけではなく、順風満帆な仕事生活を送っているように第三者には見えます。

 つまり、お金持ちの著者が、お金がなくても優雅な暮らしができるというのですから、世間の風当たりも強くなります。しかし、書かれている内容自体は頷けるものが多く、支持する声も多いのです。

 私はその支持派のひとりです。といっても、全面的に著者の言うとおりにすべき、という意味ではありません。

 たぶん、お金というものは多過ぎるということがないのだと思います。誰にとっても限られたお金の中で、自分の価値観にあった有効なお金の使い方をするためには、自分自身の価値観を時々確かめる必要があると思うのです。ちょっとイヤミなこの著者の言い分を読めば、私のように何も考えずに人の価値観を自分の価値観だと思い込んでいる、という状態かどうか確かめられるのではないでしょうか。

 他人のものさしではなく、自分の価値観で大切だと思うことであれば、いくら時代遅れだとか野暮とか著者が評価しても、私は自分の価値観を大切にすればいいと思うのです。
posted by 作楽 at 21:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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