
チャールズ・ディケンズ (Charles Dickens) 著
池 央耿 訳
光文社 出版
2月7日、Googleドゥードルでディケンズの生誕200年だと知り、何かディケンズを読もうと思ったときに思いだしたのが、「ダンス・ダンス・ダンス」です。34歳の僕が13歳の女の子と話しているときに、自分が爺さんのように扱われていると感じる場面で、スクルージ爺さんという譬えが出てきてたからです。わたしにとってのスクルージは、爺さんの代表というより、吝嗇の代表といった印象だったので、ちょっと意外な気がしました。
でも読み返してみると、スクルージ爺さんは思いのほか素直で、前向きな姿勢と柔軟さを持っているように感じられて、こんなにシンプルでくっきりとしたコントラストをもつ物語だったのかと再発見した気分です。特に、スクルージ自身が吐いたことばそのものが精霊によって突き返される直球ぶりや、それを受け止めるスクルージのまっすぐな姿は、自分のなかに残っていた印象とはずいぶん違うことに気づかされました。読む側のわたしが変わったということでしょうか。あるいは記憶が歪められていたのかもしれません。
巻末の解説を読んで時代背景を確認すると、スクルージは時代の流れに押し流されてしまっただけのようにも読めました。いまだに有名なスクルージの印象がわたしのなかで上書きされました。