ジョン・J・ラム (John J. Lamb) 著
阿尾 正子 訳
東京創元社 出版
警察官の夫が勤務中に負った怪我が原因で引退したことを機に、テディベア作家である妻の田舎に住むようになったところから、このシリーズは始まっています。そして夫は、元警察官の技能をかわれて保安官事務所のコンサルタントになるとともに、妻の影響を受けてテディベアを自らも作ることになりました。ここまでが前作の流れです。今作では、妻が夫の影響を受けて、保安官助手になりました。もう素人探偵だか玄人探偵だかわからなくなってしまいましたが、変わらないのは、テディベアが物語の中心を担っていることです。今回中心となっているテディベアは、アンティークです。ひとつは、テディベア作家夫婦の自宅から盗まれたアンティークベア、もうひとつは日本のヤクザが追っているアンティークベアです。
そう、日本のヤクザが登場するのです。テディベアを作る側からすれば、日本は優良中の優良マーケットですが、その日本代表がヤクザとは……。
アンティークベアの薀蓄が語られ、テディベアを見たり買ったりできるスポットが紹介され(日本にテディベアミュージアムがあることも紹介されています)、テディベア好きとしては、ミステリのおまけも存分に楽しめる点は変わっていません。
また、犯罪捜査のプロがテディベア作家というギャップある設定もこのシリーズを魅力的にしています。ギャップといえば、脇役も一風変わっています。レストランの主人は、ロシアのスパイという不思議な経歴ですし、おしどり夫婦がサポートする保安官は、子供のいる独身女性です。
シリーズ第二弾に比べ、違和感のない展開になっていて、次作が待ち遠しくなりました。

