
七重 俊 著
アメーバブックス 出版
表紙が気に入って手にし、2 ちゃんねるから書籍化された本を期せずして初めて読むことになりました。途中、レスの内容について著者が触れるまでそうとは気づかなかったくらいなので、本のかたちに編集されていれば、2 ちゃんねるは苦手でも抵抗なく読めるというのは発見でした。ただ、やはりフィクションとしての評価は考えられないとも思いました。
ある社会人男性が、クリスマスの夜を一緒に過ごしてくれる 10 代の女性を買ったところから始まり、ふたりの関係を振り返るかたちで男性は 2 ちゃんねるに書きこんだようです。
リアリティはありますし、先の展開も気になります。でも、そこに話したいという欲求はあっても、読者の視点というものは最初からないように思います。また描写も読者に伝えることを主眼としていないように感じられました。
自分にも似たような経験ができるかもしれないといった感覚、あるいは友達の話を聞いている感覚を味わうのにはいいかもしれませんが、作品として見るのは厳しいように思います。