
蝶々 著
マガジンハウス 出版
著者は、かつて会社員として働いていたころ、銀座のホステスにならないかと度々路上で勧誘を受けて夜は銀座で働くようになり、文筆業へと転身したようです。
すごいなあ……と、口をぽっかり開けてしまうようなスケールの大きさです。たとえば金銭感覚については、こう書かれています。
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チップやタクシー代で 1 万円もらうのは、「あら、どうも」ってスルーなかんじで、10 万円でやや個人的な好意が伝わり「わーい」、封筒入りの 30 万円超えで「ありがとー」と言いつつ、ようやく下心を警戒しだし、100 万円超えると逃げが打ちづらくなるので、かんじよく辞退する (プレゼント価格もこれに準ずる)。
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ただ、自分は自分、他人は他人ときちんと区別しているだけで、いわゆる薄給で働くような会社員のことを何も知らないわけでも関係ないと思っているわけでもありません。それどころか、そういう人たちにも役に立つものを書きたいと考えているように見受けられます。そういう懐の深さというか人間味に溢れていることと、破天荒に見えるほど人生を楽しんでいることが、彼女のなかで共存しているようです。
読むと、笑ったり考えさせられたり驚いたり忙しくなるだけでなく、自分の日常とあまりにかけ離れていて、それをちらりとも思い出さないので、ストレス逃れに最適でした。