
重松 清 著
中央公論新社 出版
主人公の男性が、妻に 30 歳という若さで死なれたあと、ひとりで娘を育てた約 10 年の道のりが描かれています。娘は 1 歳半で母を亡くし、その思い出もなく父親とふたり暮らしです。母のことを知りたいと切望する娘と父親が向き合う場面など、切なくなる描写が続きます。
悲しく辛い境遇が描かれているとはいえ、登場人物がみな『いい人』ばかりで、娘の成長など希望ももてる物語です。
生きていくうえで『受け容れて前に進む』ことの大切さが滲みでた小説であるいっぽう、少し現実味に欠けているように感じられました。