
関口 尚 著
幻冬舎 出版
コメディタッチの日本版クリスマス・キャロルといった作品です。
高度成長時代に身を粉にして働いて一代で財を成し、自らのことを偉いとするいっぽう周囲を見下す、ステレオタイプな嫌なオヤジが、あることをきっかけに悔い改めます。そのきっかけが読者の涙を誘う切ない不幸で、作品全体としては陳腐です。
ただコミカルに描かれている点が評価できます。ひたすら湿っぽく描くなら誰にでもできそうですが、クリスマス・キャロルをコメディにするという果敢な挑戦はある程度成功しています。嫌なオヤジだけでなく脇役も、それぞれの個性が描きわけられ可笑しみに貢献しています。
過去に映画化されたようで、それも納得できました。