
ケン・シェルトン (Ken Shelton)/リチャード・H.モリタ (Richard H. Morita) 著
イーハトーヴフロンティア 出版
前半は一般的な啓発書と同じように、自分にあった目標を見つけることが重要であるという意見が述べられています。後半は前半とは違って、小説風に自分にあった目標を見つけるきっかけに恵まれた人物が描かれています。
あの手この手で自分にあった目標を見つけよと訴えるくらいなら、具体的なプロセスについてもっと掘り下げて欲しかったと思います。何かを理解することとそれを実践することは別で、いくら頭で理解していても実践する場では実践特有の問題が起こるものです。それについては別の本で学んでくださいというスタンスでは一冊の本として完結していないように思え、物足りなさを感じました。
わたしの場合、家族がいないので、添付の質問シートがあまり意味をなさなかったり、手に入れたい、自由にしたい、やめたいなどと思うものがなかったりしました。自分に該当する数少ない質問に満足に答えらず、行き詰ってしまいました。
ただ、自分の目標を見直せなかったとしても、過去を振り返り、過去を解釈しなおし、肯定的で前向きな自己認識をもち、『本当の自分』が興味を持てることを目標に設定する大切さには納得できました。いい学校に行っていい会社に就職のうえ出世するだとか、起業し収益をあげて企業規模を拡大するとか、右に倣えで自分の理想を描いても辛いだけだということがこの歳になるとわかるからです。
この本に真の価値を見出すのは、人並み以上になろうと本当に頑張っている方々かもしれません。
ロシュフコーは言っています。『我々は、どちらかと言えば、幸福になるためよりも、幸福だと他人に思わせるために四苦八苦しているようである。』