2021年04月14日

「のばらの村のものがたり はる・なつ・あき・ふゆ」

20210414「のばらの村のものがたり はる・なつ・あき・ふゆ」.png

ジル・バークレム (Jill Barklem) 著
岸田 衿子 訳
講談社 出版

 本棚を整理していて見つけた、昭和 61 (1986) 年出版の本です。大型本なので、絵本だと思って開き、思った以上に数多くの文章が連なっていて驚きました。

 子供だけでなく大人の想像力もかきたてられるような、緻密に練りあげられたネズミの世界が広がっています。ルビが振られているものの、難しい漢字も使われていることから、大人も対象読者に含まれているのかもしれません。カバーのそでには、こう書かれてあります。
++++++++++
 麦畑のはしに小川にむかってのびる、ひとすじのいけがきがあります。
 みかけは、ごくふつうのいけがきです。でも、もっと近づいてごらんなさい。からみあった根の間には、小さなドアが、幹の葉かげには、かわいらしい窓があります。また、長い草のかげには、いくむれかのねずみの姿もみえます。
 これが『のばらの村』なのです。
++++++++++

 のばらの村の概観を描いた絵は、どこにでもある普通の原っぱにしか見えません。でも、そこは、ほかでもない『のばらの村』なのです。のばらの村に住むネズミには、みな名前があり、快適な住まいを持ち、働き者で、祝いごとが大好きです。

 たとえば、アップル夫妻は、野りんご荘に住み、アップルおばさんは料理が大好きで、アップルおじさんはきりかぶぐらの管理人です。きりかぶぐらというのは、のばらの村の倉庫で、貯蔵室、食料置き場、食器だな、乾燥室、地下室などの部屋が備えられた、かなりの施設ですが、外観は、ただの大きい切り株です。

 ネズミたちの住まいや粉ひき小屋がどうなっているのか断面から描いたイラストは、シルバニアファミリーの家のようです。下のほうの階は貯蔵室になっていたり、子供部屋のぬいぐるみにはネズミが多かったり、高い位置の収納スペースに梯子が立てかけられてあったり、なんとも細かい描写で、眺めていると想像が膨らみ、さらに細部に目がいき、また想像が刺激されるという繰り返しに陥ってしまう魅力があります。

 ジム・バークレムはロンドン郊外にあるエピングの森の近くで 1951 年に生まれたそうです。きっとこんなネズミの世界がひっそりと隠れていてもおかしくないと思える環境で育ったのでしょう。

 本物のネズミを見たときは、身体が凍りついたように動かなくなってしまったのに、この絵本のなかの世界は食い入るように見てしまいました。
posted by 作楽 at 22:00| Comment(0) | 和書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]