2021年10月19日

「世界国勢図絵 2021/22」

20211019「世界国勢図絵 2021/22」.png

公益財団法人 矢野恒太 記念会 編集/出版

 毎年発行され、2021 年の出版行で第 32 版になります。わたしの目を惹いた特徴がふたつありました。ひとつは、サブタイトルとして「世界がわかるデータブック」と謳っているだけあって、世界のデータが網羅されていることです。もうひとつは、出所が明確になっていて、例外事項もある程度脚注で説明されている点です。

 それぞれの具体例を紹介すると、前者の網羅性の場合、巻頭にある世界の『独立国の国名と首都』一覧では、国名が日本語と英語が併記されていて、それぞれの正式名称を調べる手間を考えただけでも全世界が網羅されている価値があると感じました。

 後者の出所については、わたしが現在もっとも興味をもっている金融関連データを取りあげてみます。『主な国の公定歩合、政策金利』が 2016 年、2017 年、2018 年、2019 年、2020 年の各年末と 2021 年 3 月末で表になっています。脚注には、次の記載があります。
++++++++++
IMF Data "International Financial Statistics" (2021 年 6 月 1 日閲覧) により作成。同資料で Financial Interest Rates、Discount あるいは Financial Interest Rates、Monetary Policy-Related Interest Rate と記されているもの。# 印が Monetary Policy-Related Interest Rate。ほか、日本銀行「金融経済統計月報」(同年 6 月 1 日閲覧) により作成。日本は基準割引率および基準貸付利率 (従来「公定歩合」と記載)。中国には香港、マカオを含まず。ユーロエリアはリファイナンシング・オペレート。アメリカ合衆国は FF (フェデラルファンド) 誘導目標金利。
++++++++++

 これだけの情報が詰まっていると、どこでデータを取得できるか、該当データのフィールド名は何かが瞬時にわかるだけでなく、事前に知識がなくても、市場金利を誘導するための金利の名前が国によって違うことに気づくことができます。また、自国については日銀の情報も参考になること、そのなかのどこに着目すべきかも知ることができます。

 急にリサーチを依頼されたとき、対象を知らずとも、まずどこから当たればいいか、さっと見当をつけることができる便利な本だと思います。
posted by 作楽 at 21:00| Comment(0) | 和書(データ活用) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]