
山本 ふみこ 著
オレンジページ 出版
『自分で考えた回り道を楽しむ』といった著者の価値観を感じました。著者は、『不便を感じて、さあなんとかしようと考えることは、「不便のねうち」であり、おもしろさの生まれる地点だと思えます』と書いています。
不便を感じたら、この不便はわたしだけの不便ではないはず、すでに解決方法を見つけた人はいないのだろうかと疑問に思ってググってしまうわたしとは違う反応です。どちらが正しいという問題ではないのですが、著者の考え方のほうが余裕というか遊び心があります。
著者がお嬢さんのひとりと一緒に米村でんじろうのサイエンスショーを見に行かれたときのエピソードが紹介されています。一緒に行かなかった家族に見せるため、サイエンスショーの再現用『空気砲』を段ボールで作り、そのあと何年も保管されているとか。
こういった日常を楽しむとか、日々を丁寧に過ごす生き方に憧れがないわけではありませんが、なんとなくわたしには向かない気がします。でも、東日本大震災を機に水をもっと大切にしなければならないと熟慮を重ねて行動に移された姿勢には共感しました。当たり前だと思っていたインフラを失った日のことは、わたしも忘れたくないと強く思います。