野口 悠紀雄 著
中央公論新社 出版
著者が『「ためになり、面白く、わかりやすい」文章』を書くために学んだことをまとめたこの本を読み、わたしは、メッセージや長さといった、文章に欠かせない要素に注意を払わずにきたことに気づきました。
著者は、『文章が成功するかどうかは、八割方メッセージの内容に依存している』と書いています。そして、メッセージの要件は『ためになるか、あるいは面白い』ことだとも書いています。ためになるとは、有用な情報を含むことであり、面白いとは、好奇心を呼び起し、それを満たすものです。そんなメッセージを見つけられないときは、考え抜くしかないそうです。
わたしはこれまで、書くよう指示されたから、ともかく書くところから始め、そこから『わかりやすい』文章にしようとあがいてきました。あがく前に、書こうとしている文章がためになるか、面白いか、あるいはその両方かをチェックせずにすませていたわけです。
さらに、文章の骨組みをつくる際に意識すべき『長さ』についても、認識していませんでした。著者は、次のように分類しています。
(1) パラグラフ… 150 字程度
(2) 通常「短文」といわれるもの… 1,500 字程度
(3) 本格的な論文などの「長文」… 15,000 字程度
(4) 「本」… 150,000 字程度
『文章にはさまざまな長さのものがある』わけではなく、『論述文には、1,500 字と 15,000 字という 2 種類のものしかない』というのが著者の主張です。つまり、叙述や描写や会話に魅せられる小説などとは違って、メッセージを伝えるための文章には、短文と長文しかなく、複数の論点がそれぞれ長文で記されているのが本ということのようです。
文章を練習するとは、ためになるあるいは面白いメッセージを短文か長文でわかりやすく書くということのようです。これまで、文章のパーツの組み立て方といった枝葉末節ばかり気にしていて、太く頑丈な幹があるかを確かめずにいたことに気づけました。

