
著者は、理想の死に方を手に入れるために必要なのは、次の 2 つのことだと気づいたそうです。
(1) 愛されること
(2) もしものときに備えること
著者の考えに異論はありませんが、(1) については、中年になってから頑張っても難しいかもしれません。高齢者にとって、病気や認知症というのは身近な問題だからです。残念ながら、病気になっても認知症になっても、うわべを取り繕うのは難しくなり、人の本質がさらけだされてしまいます。自己中心的な考えでずっと生きてきて、いきなり周囲から愛されるような人物になれるとは思えません。
しかし、(2) については、最期が近づいている事実から目を背けず、どういう終わりを望むのか、真剣に考えればなんとかなる気がします。たとえば、身の回りのことができなくなったら、施設に入所したいのか自宅で過ごしたいのか、さらにいよいよとなったとき、延命治療を望むのかといったことを事前に考え、用意しておくのはいいことだと思います。
ちなみに、著者は (1) に必要なのは、@笑顔、A感謝と好意を伝える、Bポジティブに切り替える、C意志を貫く、D想像する、E与え続けることだといいます。病気や認知症にもかかわらず、それだけのことができれば、自分の身の回りのことを助けてもらう必要があっても、愛されるのは間違いない気がしますが、なかなか難しいことばかりです。