2024年09月02日

「The Missing Piece」

20240902「The Missing Piece」.png

Shel Silverstein 著/絵
Harper & Row 出版

 以前、日本語で読んだことのある絵本です。誰にでも描けそうな、シンプルな丸い顔から、意外にもしっかりと表情が読みとれたことが印象に残っていて、古本屋で英語版を見つけたとき、衝動買いしてしまいました。文章から受ける印象をもとに顔の表情を解釈しているのか、顔がそれぞれ巧みに描きわけられているのか、自分でもわからず、なんども見返してしまった記憶があります。

 ただ、英語で読むと、日本語で読んだときとは印象が違う気がしました。日本語と比べてみたところ、この丸い存在との距離感に差があるように思えました。

 英語では、丸い存在が The Missing Piece を探しに行く場面は次のようになっています。
And as it rolled
it sang this song--
    "Oh I'm lookin' for my missin' piece
     I'm lookin' for my missin' piece
     Hi-dee-ho, here I go,
     Lookin' for my missin' piece"

 いっぽう、日本語は次のようになっていて、丸い存在のセリフ以外の部分も『ぼく』が語っているようになっています。
ころがりながら
ぼくは歌う
  「ぼくはかけらを探してる
   足りないかけらを探してる
   ラッタッタ さあ行くぞ
   足りないかけらを探しにね」

 英語で it sang this song とあるのと、日本語で『ぼくは歌う』とあるのでは、なんとなく受ける印象が違う気がします。it とあると、自分が第三者として it を見ている気がするのです。英語と日本語の主語の違いは、ほんとうに奥が深いというか、難しいです。

 だからといって、it を『それが』とすると、この丸い存在が妙によそよそしく感じられますし、違う言語である以上、同じにならないのが当たり前とわかっていても、この違いは興味深いと思いました。
posted by 作楽 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書(Age:4-8) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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