
藤田 悟/出口 正喜 著
アルク 出版
わたしが英語でミステリーを読むきっかけになった本を再読しました。大昔の本ですが、目から鱗とはこういうことだと思ったのを今でも覚えています。日本語の本を読み、もし知らない単語が出てきても、あまり深く考えず、文脈から推測して読み進めるのに、なぜ英語の本を読んだときには、それができずにいたのか、指摘されるまで考えたこともありませんでした。著者は、そのことを気づかせるために『英語のリーディングも誤解をしながら読み続けることで上達する。日本語を読むことだって結局はそうして身につけたのではないか』と書いています。
そのことばに納得して、このなかのミステリー用語辞典の単語を覚え、ミステリーを英語で読みだしました。この用語辞典は、ほんの数十ページなのですが、homicide (他殺、殺人) や assault (暴行) などの罪名、inspector (警視、警部) や lieutenant (警部補、部長刑事) など警察官の職位、first offense (初犯) や mug shot (<容疑者などの>顔写真) など警察小説に頻出する単語、法廷 (裁判) の基本用語、薬物用語など、ミステリー小説で見かける単語がまとめられていて、重宝します。裁判の原告や被告は、民事の場合、the complainant (原告) と the plaintiff (被告) が多く、刑事事件の場合、the accuser (原告) と the accused (被告) が一般的と、民事と刑事で差があることを知ったのもこの本だったと思います。
再読して気づいたのは、リーディング力を診断するテストで、初読時よりずっと高いスコアを得られたことです。多少は、単語力があがったかもしれませんが、おそらく前後から単語を推測する力があがったのではないでしょうか。ミステリー本の紹介もあって、次に何を読もうか、迷いながら選んだことも思い出します。さらに、この本を読んでから、語源などを学び、単語の意味を推測することなども覚えました。
ただ、この手の本を最近はあまり見かけない気がします。インターネットが一般的になって、調べようと思えば簡単に調べられるけれども、ひとところにまとまっていたら便利といった本のニーズが少なくなったのでしょうか。