2007年08月14日

「あたらしい教科書〈3〉ことば」

20070814[Kotoba].jpg

加賀野井 秀一/竹内 敏晴/酒井 邦嘉/橋爪 大三郎 著
プチグラパブリッシング 出版

 あたらしい教科書シリーズの1冊です。ちなみに、「」もこのシリーズです。「」は、見開きひとつに、本に関するトピックがひとつ取り上げられているというスタイルでした。今回は、「ことば」に深く関わっている人4人がそれぞれの分野から「ことば」に対する考察を述べるという形式になっています。

 本の中に表される思想を取り上げるためではなく、ひとつの媒体あるいは物としての本を考えるのであれば、本を1冊の本のテーマにすることは、できそうな印象を受けます。それに比べると、「ことば」というのは、とてつもなく大きなテーマに感じます。

 そうしみじみ納得したのは、Amazon.co.jpで、この本に対するカスタマーレビューを読んだときです。「広すぎて、いまひとつまとまりにかける」という表現でした。

 たしかにそのとおりだと思います。でも、私にとってこの本は満足できるものでした。それは、導入がよかったからだと思います。
<<<<<
自分の中から絞り出したことばを相手にぶつけることこそ、より豊かなコミュニケーションや、より生きた文章へつながるのではないかとも思っています。
 それはこの本が伝えようとしている、たった一つのメッセージが「もっとことばに驚きましょうよ」ということだからです。
>>>>>

 聞いて印象に残っていることば、難しそうなことばの中から、雰囲気が似ているもの同士をつなぎ合わせて、論理的に表しているような気になっている自分自身が表に出てくることがあると思う私にとっては、こういうメッセージこそ受け取りたいと思いました。

 また、この本の「はじめに」は、こうも書かれています。
<<<<<
 もし本書のわずか数ページでも、関心をもったり驚いたりする箇所があったら、ぜひ巻末のブックガイドもご覧になってみてください。大風呂敷を広げましたが、途方もなく広いことばの世界、1冊の本で見渡せるのは、ほんの一部の景色です。ブックガイドは、そこから新しい風景と出会うきっかけです。
>>>>>

 私はいくつかのきっかけに出合いました。

 たとえば、和語と漢語。日本に古来からあることばと中国から取り入れた漢字をもとにしたことば。それらを内輪の会話と外部発信とで使い分けていることが、日本の本音と建前の文化に大きく影響しているという考え方を知りました。具体例として、日常では「今日はいいお天気で」と言っているのに、スピーチなどでは、「本日は好天に恵まれ」と言っているというのです。たしかに、親しい友人に本音をぶちまけているときは、漢語の出番はあまりありません。

 また、ことばの分類や文化とはまったく違う話題も取り上げられています。それは、脳とことばの関係。言語を操る力は、最初から脳に備わっているという考え方があるそうです。酒井邦嘉氏の説明によるとこうです。
<<<<<
 言語というのは、言語がまわりにある環境であれば自然と生得的に覚えるものです。しかし、他の能力というのは、そうはいかない。家族が皆ピアノを弾いているからといって、じゃあ赤ちゃんもピアノが弾けるかというと、そうではありません。そこが違う。
>>>>>
 たしかに、と納得すると同時に、ことばをこういう角度、つまり脳の中においてどのように発達・機能するのかという視点はおもしろいと思うのです。

 「巻末のブックガイド」にある本を数点読んでみて、もう少しことばについて、考えてみたいと思います。
posted by 作楽 at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 和書(日本語/文章) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック